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-------------●ここは鋼の錬金術師「ロイ×エドSSリレー企画」の二次創作サイトです♪●-------------※全ての画像・テキストの無断掲載持ち帰りはしないでください・初めての方は「about」をお読みください※since07/10/25
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――動け、動けっ!
何も見えず、何も感じず。聴覚以外はすべて閉ざされたこの身体。そんなものがなんだというのだ。
――動けって言うんだよっ!!
心が叫んだとしても薬の効果は確実にエドワードを苛んでいた。動かない、何も感じない。ロイとフィオレッナが立ち去り、一人残されてこの部屋では聞こえてくるものすらなくて。
――だけどね、安心おし。これ以上君に何かをさせやしないから。
そんな言葉が欲しかったんじゃない。自らの足でこの屋敷に乗り込んだのはロイにこんなことをさせるためではないのだ。
油断をしたのは自分のミスだ。ここが敵陣であることを忘れていた。いや、忘れていたわけではない。だけれども……。結果として自分がロイを窮地に追い込んだのだ。
――させるか、そんなこと。
動かない身体で何ができるというのか。そんなことは関係ない。動け。今ここで動けないままで、ロイに守られたままで。そんなのは嫌だ。絶対に。
動かないはずのエドワードの口元が、再びたどたどしく<ロイ>と象る。ほんの幽かに睫毛が揺れて。

そうして少しずつ。
エドワードの金色の瞳に炎が灯り始めていった。


オークションは時間通りに開催された。ロイが案内された部屋までも、その歓声や拍手の音が聞こえてくる。それでは次の品です。さる国宝館から持ち出された純金の処刑刀です。落札価格は一億センズからスタートです……との司会の声に被さるように一億、一億五千万……と値を張りあげる参加者の声が上がる。
それらを気にも留めずにロイは悠々と椅子に腰をおろしていた。
当然この屋敷に入る時点で携帯していた銃もポケットの中に忍ばせていた発火布も取り上げられている。
――まあ、そう思わせるようにあえて上着に発火布を忍ばせておいたのだけれどね……。
ロイはあくまでも静かな面持ちで、自身がオークションにかけられるその時を待っている、かのように見せかけていた。そうした後、ちらりとオークション会場へとつながる扉の方へと視線をやった。そして、腕を固く握りしめるように組み直した。緊張でもしていると思わせるかのようなしぐさをとってみる。そして、思考だけを働かせる。手筈は済んだ。部下の配置も、そして。考える。何度も何度も。一つずつ、腹心の部下の配置、ヒューズとの連絡そしてアルフォンス、それから……。状況を確認する。オークションの進行状況。ロイ自身の状況。案内されたこの部屋に居るのはファルザーノとフィオレッナ。武器を携帯した幾人かの護衛の者たち。ロイの計画を覆す要因はまだ何一つとして見えない。大丈夫、うまくやる。エドワードを助け出す。そのために自分をオークションで売るなどという餌を放った。その餌にうまく食らいついてくれたと思うのはまだ早い。まだ、布陣を敷いただけ。これからが本番なのだ。ロイは自身の武器を確認する。もともと身につけている何も書かれていない一見普通の白い手袋。そこには手袋の白と同じ色で錬成陣を織り込んでいる。白い布地に白の糸で、手袋の内側に仕込まれている錬成陣。
ボディ・チェックなどされたところで発覚のしようのないそれがロイに残されたものだ。が、それだけが武器なのではない。
エドワードをこの家から自由に解き放つために。そして、反撃のために。 ロイは無言のまま、時を待った。
「そうそう、マスタング君。君の落札条件だがねえ、君の欲しいものをとある人物の元へと傷一つなく届けるといことだったな。それはいったい何なのかね?」
グラスに注がれたシャンパンの香りを確かめながら、ふと思いついたようにファルザーノは問いかけを発した。
「面白いからと即答したが。それが何だったのか、具体的に何かということを聞いてはいなかったねえ」
含みを持たせるように、また何かの探りかけのようにファルザーノはシャンパンを口に含んだ。ロイは大したことではないとばかりにあっさりと告げた。
「この屋敷に捕らわれている私の部下、ですよ。鋼の錬金術師、エドワード・エルリック。彼を、無事に……そう、ある人物へと引き渡してもらいたい。その人物にはすでに連絡済、といいますか非常に乗り気でしてね。彼女は……鋼のが到着するのを今か今かと待っていていただいています。たいそう彼を気に入っていただいて、ですね。ああ、そうですね。無事に到着しない場合は実力行使をしてでも奪いに来るでしょうね……」
そうなったら私でももう手に負えませんねと、わざとらしくロイはため息までを吐き出した。
「彼女……、とは誰のことかしら?」
問いかけてきたのはファルザーノではなくフィオレッナだった。
「麗しの女傑、とでも言いましょうか。……オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将。あなた方もよくご存じのことでしょう」
ロイはフィオレッナに艶やかな笑みの表情を向けた。






やっぱりいるよな、おねー様の登場場面と思って……。
突発錬成、ノリヲでした。
それでは後は任せた友よ…っ!!
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コールドレイン 第15話
 
心がこんなにも悲鳴を上げているのに、涙がでてこない。
いや、きっと出ているのだろう。
 
フィオレッナの「泣いているの?」という言葉がそれを証明している。けれど、泣いている実感がない。
頬を伝っているだろう涙の温かさや、何かを感じ取ることが今のエドワードにはできないのだ。
 
ただ、心が壊れそうなほどに苦しい。
 
何も出来ない自分が悔しくて。
助けに来たはずなのに、逆にロイに助けられて苦しくて。
そんなロイを助けることができなくて、辛い。
 
俺……ケーキなんか食うんじゃなかった。
 
日課になっていたとはいえ、どんなに美味しかったとしても、だ。ここは敵陣だったのだから。
 
ケーキ一つのせいで、ロイが売り買いされてしまう……そんなの嫌だ…。
 
自力で何とかできたはずなのに、何もできない。あまりに迂闊な展開に、エドワードの落ち込みに拍車がかかる。
 
自己嫌悪と不安と心配が入り乱れて、もうエドワードの心理状態はぐちゃぐちゃだ。
そんな状態でも、唯一残された聴覚は研ぎ澄まされていて、段々と近づいてくる足音を拾っている。
 
足音は、二人分。
一人は恐らく女性で、もう一人は―――。
 
「もう時間ですのよ、商品が遅延なんてあってはならないことなのに」
「ええ、分かっていますよ。ですが、一目彼の無事を確かめておかないと、気が気でなくて客の前で愛想笑いもできない」
「困った人ね」
 
足音と共に耳に飛び込んできた声は。先ほど退出したはずのフィオレッナと、―――ロイ!?
 
ドアが開き、二人が入ってくるのが分かる。いや、一瞬だがロイの歩みが止まった。と同時に息を呑むような緊張感を、エドワードはロイから感じとった。
 
恐らく、自分のこの有様を見て驚いたに違いない。
 
フィオレッナの足音は途中で途絶え、ロイの足音だけがエドワードへと近づいてくる。
 
どんどん近づいてくるロイの足音が止まった。
エドワードの真正面に、今ロイがいて。すうと、息を呑んでいる気配を感じる。
 
「その子に触っても無駄よ。何も感じないのだから」
「………君は、……エドワードに何をした」
 
ロイの手がエドワードの頬に当てられて、けれどエドワードからは何の反応もない。透き通った金色の瞳は焦点が定まっておらず、虚ろだ。
けれど、その頬に涙が伝った後がある。
 
ぎりぎりのラインで、ロイは平静を保っていた。
発火布で燃やし尽くしたい衝動を必死に押さえ込み、呼吸をどうにか整える。
 
「大丈夫よ、依存性も副作用もない優れものだから。それにね、耳は聞こえるから私達の会話は、その子に筒抜けよ」
「……そうか」
「さあ、もう良いでしょう? 時間がないわ」
 
本当に時間が押し迫っているのだろう。フィオレッナの声に焦りが含まれている。
けれど、ロイはこんな状態のエドワードから離れがたい。
 
薬を使ってまで、こんな状態にして一体何をするつもりだったのだ? お遊びというのなら、度が過ぎている。
「だけどね、安心おし。これ以上君に何かをさせやしないから」
 
エドワードの両頬を、そっとその手で包み込む。
 
「行ってくるよ。でも心配はいらないから…」
 
最後に耳元へくちづけを。
たとえ見えていなくても、エドワードを見つめロイは優しく微笑んだ。
 
だが時間に苛立ったフィオレッナに向き直ると、「では、参りましょうか」口端を上げた、どこまでも不適なロイがそこにいたのだった。
 
 
 
エドワードの耳から遠のく二つの足音。そして、ドアが閉まり完全に何も聞こえなくなる。けれど。
耳元で何度もリフレインされている言葉が、エドワードの頬を今一度濡らしていた。
 
それは、最後にロイが耳元で囁やいた、たった一つの言葉。
 
 
――――愛しているよ。
 
 
やがて、動かないはずの人形の口元が、たどたどしく<ロイ>と、かたどっていくのだった。




どうしても、ロイの「愛してるよ」の言葉を入れたくて(汗
久しぶりな台詞に、自分が恥ずかしいです(←でも書きたかったんです・汗)
そして、最後はやっぱり……「続きは頼んだぞ、友よ!」
まいこ

人間は何か1つの感覚を亡くすと、別のどこか違う感覚が鋭くなると・・・・何か文献で読んだことがある。
亡くしたものは返らないが、その代わりに別のどこかが秀でるということだ。

それはまさに等価交換の原則に似ている、とこんな状況でも思ってしまう。

五感のうちで残っているのは聴覚だけだ。
全ての感覚を失った闇の中、存在するのは「音」だけ。

恐らくそのせいだろうか、聴覚はいつにもましてはっきりと色々な音を捉えてくる。

つい先ほどまではドアの開閉の音、数人の男達の足音が廊下に木霊する音。
些細な音が状況判断の基準だった。
どうやら自分はフィオレッナの部屋からどこかへ運び出されたらしい。

だが今は辺りに人の気配を感じさせる音はない。
入ってくる音は・・・・・どこか少し離れた場所でざわざわと雑談するような人のそれ。
不思議なのはその雑談の音が妙に木霊して聞こえてくることだ。
もしかしたら、えらく天上の高い広いホールのような場所が近くにあるのかもしれない。

「最初っからあなたをオークションに出すつもりなんてなかったのに」

突然、かけられた声は、少し離れた場所からのようだったが・・・幾分いつもよりトーンが低かったが、確かにフィオレッナのものだった。
恐らく彼女のものであろう足音は、静かに近づいて来る。

「あなたも・・・・あの男も・・・・・よくわからないわ」
酷く、声は落胆して聞こえる。

見えない分、音は彼女の感情を伝えようとするから不思議だ。
いや、目に見える彼女の顔や表情は、表面だけで取り繕われたものだったのかもしれない。
今、こんな状態になって初めて彼女の本心に触れているような気がする。

「あの男・・・・あなたを助ける為に、自分をオークションの商品にしろってお父様に申し出たわ」

っ・・・・・・!!!

「あなたを助けるのが条件に・・・」

大佐・・!

心は激しく動揺するが、それが体に現れているかどうかもわからない。


大佐・・・・・馬鹿だあんた、どうしてそんなこと?


「泣いているの?」

聞かれた言葉にはっとなる。

そんなの聞かれても、わからない。
五感は、音しか拾わないから。
例え自分の頬を熱くそれが伝っても、感じることが出来ないのだから。

確かに心は動揺して悲鳴あげているけれど。

その時。
急に・・・・先ほどまで感じていた遠くにあったざわついていた気配が消え、シンッと静まりかえった。
何らかの状況変化があったようだ。

「行かなきゃ・・・・・私」

彼女の足音が離れてゆく。

引き止める言葉も声も、今の自分には何もない。


ロイ・・・・。

その名を思うことしか許されずに・・・・・ただ、その名を心の中で唱えた。


*********************************************************


すみませっ、あまりに楽しい展開だったんで、続けて投げちゃいました(>_<)
後は頼んだよ、友よ←まだ言うかっ
という訳で参観行って来ます(休みだったらしい・・・)


つぐみ拝
「返事など決まりきっているでしょう、フィオレッナ嬢」
ロイは差し出された手をすっと取ると恭しげに頭を垂れて、そしてゆっくりとその手を離した。
「あら……それでは返事はイエスということでよろしくて?」
エドワードというロイにとっての最大の切り札を手にしているのだ。断りなどするはずもない。フィオレッナの顔に浮かぶ表情は勝利者のそれだ。が、ロイの返事はフィオレッナの予想とは異なった。
「……その前にファルザーノ・コルネオに告げるべき言葉があるのですが?お父上はどちらにいらっしゃいますか?」
ロイの返事にフィオレッナが眉を顰めかけたその時を見計らったように足音も高らかにファルザーノが現れた。
「おや、これは……マスタング大佐。ようこそ、と申し上げるべきでしょうか?」
幾人もの護衛を引き連れた父親の予定外の登場に、それでもフィオレッナは「ごきげんよう、お父様」と微笑むことを忘れなかった。
ロイはすっと頭を下げると自分の暗殺計画を企てている男に向かって飄々と言い放った。「丁度良いところへファーザー・ファルザーノ。実は取り急ぎお願いしたい件がございましてね……」
ロイは真剣な面持ちでファルザーノに相対した。
「ほう……、お願いとはまた……」
ファルザーノは面白そうだと言わんばかりににやりと顔を歪ませる。フィオレッナは能面のような笑みを顔に張り付けたまま、その頭脳の中ではありとあらゆる展開を想定していた。
「ええ、受け入れていただければ今宵の宴はより一層面白味を増すかと思いまして」
ロイは余裕たっぷりにゆっくりと告げていく。それにファルザーノは興味を引かれたようだった。
「何かの趣向の提案でもあるのかね?ふむ……言ってみたまえ」
面白いものなら採択しようとばかりにファルザーノはロイを舐めるような目線でとらえる。フィオレッツは動かない。何を言うつもりなのかと警戒だけはしていた。が、それを表面に出すことはない。一見すれば和やかなムードで談笑をしているとも見えるだろう三人はお互いにお互いの腹を探り合う。
ロイはファルザーノを見て、そしてフィオレッナを見る。
――さあ、食らいつけ。やすやすと小娘のシナリオ通りに動いてなるものか。
反撃の、第一歩だ。そのために必要なのは武器などではない。取り戻すこと。最優先事項を間違えてはいけないのだ。フィオレッナにエドワードを捕らえられたままでは反撃も何もない。まずは、最初の手段。さあ、宴を始めるがいい。
ロイは顔色一つ変えないままに淀みなく告げた。
「これからこの場所で催される宴の余興として、この私をオークションにかけていただこうかと思いましてね。どうでしょう?商品としてなかなかのものだと自負しておりますが?」
一瞬だけ、間が空いた。
「オークションにかけるって……あなた、自分を売り物にするというの?」
さすがのフィオレッツも目を見開いてロイを見た。
「ええ、もちろん。面白い余興になるでしょう?私を欲しいと言ってくれる人間は……まあ、理由はどうであれ数多くいる、と思いましてね……」
結婚相手にと望む者。目障りだと消してやりたいと思う者。手駒として使おうと策略を練る者。ロイはあらゆる意味で人気商品と言えるのだ。買った後痛めつけるのも良し、愛でるのも良し、と言われれば皆こぞって値を張りあげることだろう。
特にロイの命を狙っている者達にしてみればこれほど安上がりなものはないだろう。暗殺計画を立て、何人もの部下を投入し、そして時間をかけ殺す。様々な組織と調整するなどの余計な手間をかけなくともよくなるのだ。オークションで落札ということならば金だけが問題になる。が、その金も大した問題ではないはずだ。闇で得た資金など潤沢にある。特にコルネオ家はそうだ。ロイはこの提案をファルザーノが受け入れるという勝算はあった。その想定通り、ファルザーノには声も高らかに笑いだす。
「面白い、実に面白いではないかマスタング大佐。いいだろう、今日のお客様達に対する目玉商品になりうるな」
わははははは、と笑いつづけるファルザーノ。それとは逆にフィオレッナは笑みを潜めた。
「……何が目的ですの?」
「目的とは穏やかでない言い方ですね、フィオレッナ嬢。ただの余興の提案ですよ。ですから、落札条件も金ではないものにしてみようかと。そのほうが面白味も増すでしょう」
ロイの不敵な顔はただただ満面の笑みを浮かべていた。
落札条件と言うその言葉にようやくフィオレッナはロイがこんな無謀とも思える提案をしたその理由にたどり着いた。が、フィオレッナが何かを言うより先にファルザーノが口を開いた。
「金ではない……と。なるほど、それはそれは面白くなりそうだ。いいだろう、言ってみたまえ」
「お父様っ!!」
ファルザーノはちらりと自身の娘を見た。フィオレッナのたくらみなどファルザーノはとうに承知の上なのだ。
どう転ぼうとこのコルネオ家の栄の礎になるのならどうでもいいのだ。目の前に居るロイ・マスタングを暗殺し、東方を牛耳るのでも構わない。逆に手中にし、傀儡として操るのもまたよし。娘の婿としてこの家を栄させてもよし。そう、どう転んでも自分の、いや、この家の利と為すこと。ファルザーノの目的はそれ一つだった。仮に、フィオレッナがファルザーノ自身を殺し、この家の当主として立つことを望んだとしても、結果としてそれが良いのであれば構わなかった。そしてそこに面白さのスパイスが加わるのならファルザーノにとってはもう何もう言うことは無し、なのである。
「フィオレッナ、落ち着きなさい。せっかくのご提案だ。それで?マスタング君。その落札条件とは何なのかね?」
言ってみたまえという鷹揚な返答にロイはありがとうございますと言わんばかりに頭を下げる。が、その漆黒の瞳は笑ってはいない。
「欲しいものがあるのですよ。それをとある人物の元へと傷一つなく届けていただきたい。私の落札条件はそれです」
――今、助けてやるエドワード。
ロイは射抜くような視線でフィオレッナを見つめていった。






オークション。エドワドかかけられるのはお約束かなって。ロイさんにしてみましたー。突発錬成につき、誤字脱字あったら言ってね(←他力本願)
それでは後は頼んだぞ、友よ……。   ノリヲ

 
「待ちくたびれてしまいましたわ・・・・・」

案内された廊下の先で・・・・大して待った気配もなく、フィオレッナはそう言った。
先日のパーティーの時とはガラリとイメージを変え、シックな黒い正装用のドレスに身を包んで。

お世辞などではなく彼女は美しいと賞賛されるに値する女性だ。
これほどの美貌があれば、きっと何でもキレイに着こなしてしまうだろう。
だが着こなすと言えば聞こえはいいが、この女に関してはまるで服が女のイメージに従わされたような印象を受ける。
女性というものは服一枚でイメージを変えるものだが、彼女自身の印象が強烈過ぎてどうにもいい印象を持てない。

綺麗に引かれた口元のルージュさえきついと感じるのは、やはりその本性を垣間見てしまった所以だろう。

「それは・・・・失礼を。本命相手だと思えば柄にもなく緊張を・・」
ゆるりと口元をあげて答えれば「謙遜する男は嫌いですの、はっきりおっっしゃって?」と不敵な笑みが返される。
先日とは違い誰が会話を聞いているかわからない廊下。
用心にこしたことはない・・・・何よりも大事な人が人質に取られていることも忘れてはならない。

「さぁ・・・・・プロポーズの言葉はご用意できて?」
そう彼女が言えば、絶妙なタイミングで目の前の大きな扉を両隣にいた黒服の男達が開いた。

開いた扉の向こうには、まるで劇場でも思わせるような大きなホールが広がっている。

どうやらここは二階建てのホールの個室の1つに続く扉のようだ。
装飾のえらく凝った大きなイスが、二つ並べて置いてあるのが見える。

「まだ、ご招待頂いた宴の内容を聞いていませんでしたね」

ホールの中を見ながら、ロイがそう言えば。
フィオレッナは楽しそうに笑った。

「ここに入るのが許されるのは、私の伴侶となる人間だけですわ」

「伴侶・・・・ですか」
その言葉を強調されるのが口惜しい。
この女が欲しがっているのは伴侶ではなく「手駒」だ。
口に出して訂正してやりたいぐらいだが、他の人間の目があってそれも叶わない。

「ええ、そう。所謂身内だけということよ。場内に入るまでには厳しいボディチェックがあって、キケンなものは一切持ち込めませんのよ」
そう言った彼女に、両横にいた黒服の男達がボディチェックを始めた。

例え娘とて例外はなし、か。

その様を横目で見ながら、ロイは内心眉を寄せた。
さすがコルネオ、徹底した組織ぶりだ。

彼女の言うところの身内すら、信用していないということだ。
だがその説明をしながら笑う彼女の表情に含みを感じる。

キケンなもの・・・・・つまり銃火器は持ち込めないが、発火布は問題ないということ、か。

透けて見える彼女の思惑。

フィオレッナのボディチェック終った男達が今度はロイのボディチェックを始めた。
ロイは黙ってそれを受けながらも、視線はフィオレッナに向けたままだ。
 
「警備はこのホールの外はとても強固なものですから安心なさって。その代わり一度中に入ってしまえば途中退席は許されませんの。身内だけの・・・・・宴ですものね」
言いながら彼女は扉をくぐった。

恐らくこれがコルネオが取り扱うという国内最大の闇のオークション・・・・。

どうやっても掴めなかったその全容が、目の前に広がろうとしていた。

ロイは無表情のまま、部屋の奥を見据えた。

「お返事を・・・・・ロイ・マスタング大佐」
そう言ったフィオレッナが、細く白い・・・・その右手を、こちらへと差し出していた。
 

***************


こんにちは、つぐみです。
いきなり萌えの神様が降臨っ☆
がっつり掴んで逃がさないように十二話、即練成させて頂きました。

でもあやうくエロの神様が降臨しそうそうで、冷や冷やしました←正直者っ

短い上に変なところで引いておりますが、どうぞお次の方よろしくお願いします。ぺこりっ


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ILLUSTRATION BY nyao