◆ お題・その①「カワウソロイの恩返し」(2)

雪が・・・しんしんと降り積もっている。
降り積もるそれは、辺りの音を吸収する為に・・・・部屋の中にも静寂が訪れていた。

エドワードは思わず窓の外を見つめて吐息をついた。
ついた吐息の息が僅かに白く見えたのは、部屋の中の暖房が行き届いていないせいだろうか。
暖炉のマキだけでは、やはり限界があるようだ。
じわりと感じる寒さに、オートメールの付け根が少し痛んだ。
その上、降り積もる雪は止む気配はなく、エドワードの気分更にを滅入らせる。

エドワードが今いる建物はどうやらどこかの金持ちの道楽の為の別荘のようで。
つくりはやたらと豪華で、しかも持ち主はどうやらクリスマスをここで過ごしたらしく、庭の木や部屋の中にはやたらとその名残りが見える。
無断で入り込んでおきながらも、そんな暢気な様子がなんだか腹立たしい。
自分はもう三日も足止めをくって、ここに閉じ込められているというのに。

「アルの奴、心配してんだろうな・・・」

きっとアルフォンスが心配しているに違いない。
二・三日で帰るからと、軽装で何の準備もせずにこの山へ足を踏み入れたのがいけなかった。
急に降り出した雪は一向に止む気配がなく、その深さを増すばかりだ。
お陰で寒冷仕様でもないオートメールのまま、この山道を降りるのは命取りになりかねない。

そして何よりもエドワードの気持ちを滅入らせているのは・・・・今回もまた無駄足だったという事実だ。
賢者の石の情報はどうやらただの伝承話だったようだ。

山の奥深くまで足を踏み入れてみたが、その伝承にあったのはただの何の力もない石で。
そして・・・かわりにそこで出会ったのは。

一匹の傷ついたイタチだった。

「あいつも、あれから大丈夫だったかな」
思わず口から声が漏れた。

ああいう類の動物は冬眠の時期だろうに。
何故あんなところにいたのか。

それにしてもなんであんなに懐かれたんだろう。

あわやそのまま付いてきそうな勢いだった。
野生だし、人間を恐れなかったんだろうか。
エドワードのそんな物思いを、ふと・・・・・・「トントン」という音が遮った。

「え・・・？」
こんな山奥で？
だがそれは、確かにドアのほうから聞こえた。


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ギャグの前の静寂ということでわざとこんな感じにしたみました。
お次の方はその分ギャグ全開ではじけてくださいませ☆
そして見ての通りエドワードさん「カワウソ」を「イタチ」だと思ってます。
どうぞその辺りの天然っぷりもフォローしてあげてください♪
こんな駄文しか練成出来ませんのに、トップを勤めさせて頂いて、有難うございました～。

お次の方、よろしくお願いします。

つぐみ拝