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コールドレイン 第21話


「様式美、というべきなのですかな?それとも茶番というべきか……。貴女はどうお考えですか?」
ファルザーノは笑みを浮かべたまま短く告げる。暴発させられた銃によって腕を痛め、唸り続けている男たち。ファルザーノの声に硬直したままの招待客達。奇妙な緊迫感など気にも留めずにオリヴィエは続ける。
「茶番でなければ子供の遊びだ。そもそも貴様がこのマスタングを暗殺しようなどとそこで呻いている小物どもと手を組んだこと自体が茶番以外の何物でもない。本当に邪魔だというのなら貴様は自分一人の力でマスタング程度の者などとっとと消しているはずだ。その方が確実だろう」
おや、とファルザーノは面白そうに眉を上げた。
「何が言いたいのでしょうか、オリヴィエ・ミラ・アームストロング中将閣下?」
言葉は疑問形を取っているが実のところ尋ねてなどいない。答えのわかり切っている問いだった。オリヴィエも面倒だと言わんばかりに吐き捨てた。
「マスタングを暗殺などというのは何なる餌だろう。貴様の退屈しのぎに付き合うつもりなどはない。人形は受け取った。マスタングもついでに買ってやったからな。あとは貴様らで勝手にやれ」
「おやおや、私の退屈しのぎですかな?これでも真剣に物事を進めているつもりなのですがね……」
ファルザーノはくすくすと笑う。
「遊びついでに娘の力量も計れて一石二鳥どころか三鳥にも四鳥にもなる。貴様の考えそうなことだ」
娘という単語にフィオレッナが声を上げる。
「待ちなさいオリヴィエ。どういうことなの?」
「わからんか?フィオ、所詮お前もファルザーノの掌の上で転がされていたということだ」
「な……っ!」
「そう簡単に正解を述べてしまうのは趣がありませんなあ」
「貴様たちの茶番にこれ以上付き合っていられんと言ったばかりだろう。私は忙しいんだ」
ファルザーノはつまらないとばかりにため息とついた。
フィオレッナがロイ・マスタングを夫として入手し東方を牛耳るのでもよし。また、暗殺してその地を得るのでも良し。見合いとはそのための撒き餌の一つにすぎないのだ。そしてファルザーノはあえて小物のテロリストたちと徒党を組んだ。本気でロイを害したいのであれば、ファルザーノは自らの手で確実にロイを屠るための手段を取る。わざわざ隙だらけのお膳立てをしたのは自分の跡を継ぐ娘の力量を図るためという意味合いもあるが、単にそのほうが楽しめると思ったのだ。いっそ、ファルザーノ自身を殺害してフィオレッナがこのコルネオ家を乗っ取るという結末になってもファルザーノはよかったのだ。
仕掛けを幾重にも施して、そうしてその結果を待った。
悠々と、楽しげに。
「楽しかったかファルザーノ。貴様の娘やこいつ等で遊ぶのは」
「楽しいというところまではもう一息足りませんなあ……」
くすくすと、ファルザーノが笑う。
静まり返った会場に響くのはそのファルザーノの嘲り笑う声のみだ。
逃げることもできずにその場でそのまま動きを止めているだけの客たちも、撃たれ床に転がっているだけのテロリストも、皆口を挟むことなどできなかった。フィオレッナとて彼ら同様だった。ただ肩を震わせながらファルザーノを睨みつけている。

そうして。

「ふざけるなっ」

エドワードの怒りに満ちた声がその場に響いた。









ロイの出番がなかった(泣)&連続投下申し訳ない。  (ノリヲ)
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コールドレイン 第20話


「皆様、ご静粛に」
短くも重いく響いたその声に、会場内の空気が冷えた。
逃げ惑う人々の混乱も、怒号も。その声が届くと同時にぴたりと止んだ。スポットライトに照らされているロイに銃口を向けているテロリストの面々でさえそれは同じだった。

声を発したのはファルザーノ。
鷹揚に、紳士的な笑顔で。ただ一言静かにとそれだけを告げた。

けれど、そのワン・ワードはまるで脳をえぐるように、精神に突き刺さるかの深さで、この場の誰彼にも突き刺さった。
喉元にナイフを突き付けられたかのように。
誰もが動きを止めたのだ。

ファルザーノが組んでいた足をゆっくりとほどき、そうして流れるような優雅な動きで立ち上がったのだ。
「どうか皆さま慌てずに。出口の数は少ないですからな。ゆっくりと、慎重にご退場ください。ただし――」
言葉は、穏やかだった。表情も愛想の良い笑顔と言い切れる。けれど、ファルザーノの瞳の奥には愛想も穏やかもない。
ひやりとした殺気を内に秘めたファルザーノの視線がぐるりと会場内を一巡すると、オリヴィエの上で止まる。
「かのオリヴィエ・ミラ・アームストロング中将閣下がこのような場にお越しいただいた、ということはこの屋敷はすでに貴女の配下の者によって取り囲まれていると、そういうことでよろしいのですか?」
「ふん、頭はまわるようだなファルザーノ・コルネオ。この私自ら出てこなくてはならないような仕事ではないのだがね。私の人形を引き取りにきたついでだよ、ついで。まあ、単純な話だ。人身売買が行われているオークションの取り締まりに、仮にも軍部の人間を狙った大々的なテログループの連携。面倒だからとっとと出頭しろ。ファルザーノ、貴様も、そこで、銃など構えている小物どももな」
小物、とオリヴィエに称された覆面の男たちは、その銃口をロイからオリヴィエに向けた。
「お前っ!」
銃口などどこ吹く風でオリヴィエは歩を進める。歩む先には未だスポットライトに照らされているままのロイがいる舞台のほうだ。
「面倒だ。マスタング、小物くらい貴様が片付けろ」
「麗しの中将閣下の命とあらば」
すっと、白い手袋した右手を掲げ、パチンとその指をロイは鳴らした。
手袋は発火布だ。そしてそこには手袋と同じ白の色で錬成陣が描かれている。
ロイが指を鳴らすと同時に、覆面の男たちが手にしている銃が暴発した。




こそっと投下byノリヲ
コールドレイン 第19話


――何故……オリヴィエがここに……。
フィオレッナはオリヴィエを凝視した。ロイ・マスタングといいオリヴィエといいどうしてこう予測の範囲内から逸脱した行動をとるのか。順調だったはずなのだ、自分の計画は。予測通りに事は進んでいたのだ、途中までは。どう転んでも自分の目的に到達するようにと何度も計略を考え直したはずだった。ロイを夫としてでも手駒としてでも入手して、自身の益となるようにというのが最初の布石。だが仮にロイに敵対されたとしても殺してしまえばそれはそれで自分の力を誇示できるということで。二重三重に計略をはりめぐらせたはずなのに。エドワードは万が一計略にズレが生じた場合のいわば保険として手の内にとどめておいたにすぎない。もとより彼をどうこうするつもりもなくて。なのに何故、よりにもよってオリヴィエと共にこの会場に居るのか。しかも真っ直ぐに自分を射抜くように見つめてきている。薬はまだ効いているはずの時間だ。それなのに、何故。
考えるべきことは多かった。が、状況がつかめないうちでは先を読もうとしても全て無駄になる可能性のほうが高い。だが、フィオレッナは内心の混乱など見せないようにすっと背を伸ばして立ちあがった。
「ようこそ、オリヴィエ・ミラ・アームストロング中将。……そちらの商品をお買い上げされるためにわざわざいらしてくださったのかしら?」
フィオレッナの口調に、先刻湧いたばかりの会場内が一瞬のうちに水を打ったように静まった。
オリヴィエはくっくっくと笑うと、傍らのエドワードを抱き寄せて言い放つ。
「なに、私はこの『人形』の受け取りに来たにすぎん。届くのがあまりに遅いのでな、私は忙しい。待ってなどいられん。よって私自ら足を運んでやったまでにすぎん。それを買うのはついでだ。なあフィオ。国軍大佐がオークションの商品とはな。面白いが軍の将軍という私の立場からすれば見逃せるものではない」
親しげに、フィオなどと呼びかける。が、オリヴィエの眼光は鋭い。
けれどフィオレッナはその眼光を真っ向から受けてたった。
「そう……。ついで、で『一億』ねえ……。まあいいわ。さらに高値を提示する客様もいらっしゃらないようですし。一億で落札ということで良い……のかしらね」
ちらりと目線をロイへと走らせれば、ロイはふてぶてしいまでに鮮やかな笑顔を浮かべている。まるでお買い上げありがとうございますと言わんばかりに手までひらひらと振っていた。
「そ、それでは確認いたしますっ!他にありませんか!!」
壇上ではオークションの進行役の男が声を張りあげる。その声が会場に響く。しかし答える声はない。司会の男は一瞬間をおくと、おもむろに木槌を振り上げ、そして落札を示した。
「では、一億で……っ!」
コンコンという木槌の音よりも大きいのは落胆の声や溜息だ。あちらこちらから「私が欲しかったのに」という種類の声が上がる。
そんなざわめきなど気にもせず、オリヴィエは傍らの『人形』を抱きあげると、一歩前また一歩と舞台の方へと進んでいく。
不敵に笑うオリヴィエとそれを睨みつけるフィオレッナ。
その二人がお互いをけん制するかのように口を開きかけた途端、それは起こった。

ざわめきを零していた客たちの声が一転して悲鳴に変わる。甲高い声を上げた中年女性の背に現れたのは顔を覆面で隠し、黒い迷彩服に身を包んだ大勢の男たちであった。いずれも自動小銃を構えている。騒ぐ客席の通路の間を駆け抜けていく迷彩服。そして、彼らのうちの一人が会場の天井に架かっているシャンデリアにその銃口を向けた。
ダーン……という銃弾の音とともに砕け散るシャンデリア。クリスタルの破片はキラキラと光をまき散らしながら落下してくる。観客たちがその美しさにか恐怖にかに呆然としたのはほんの一瞬だけだった。身を守るために客席の椅子の間に身を潜める者、出口へと走り出す者。シャンデリアは彼らに構う事などなくただ派手な音を立てて客席に落下し、砕け散った。
覆面の男たちが発した「覚悟っ!ロイ・マスタングっ!!」などという声などは悲鳴と怒号とそれから轟音によってかき消される。劈くような悲鳴も怒号も全てが喚き散らかされているようで意味のある言葉など何一つとして感知できない。会場から逃げようとしている者たちで二つだけしかない扉の周囲は大混乱だ。押し合いへし合いでもみくちゃになる。足を踏んだだの痛いだの私が先にだの、口汚くお互い同士を罵りあう光景はいっそ壮観だと言える程の混乱っぷりを呈していた。紳士、淑女の名が呆れる光景ではある。彼らのせいでフィオレッナの部下もコルネオ家の護衛もこの会場へは入ってこられなかった。

舞台の上に一人残されスポット・ライトを浴びたままのロイ。
エドワードを抱きあげているオリヴィエ。
それを睨むフィオレッナ。
ゆったりと椅子に腰をかけたまま、面白がっている様子を崩そうともしないファルザーノ。
そして、それを取り囲かこみ、銃を向けている覆面の男たち。

始まったばかりの宴がどう進むのか。それは誰にもわからない。
わかっているのはフィオレッナの計略が少しずつ崩されていき、そうして別の方向へと向かうスピードが加速されたということだけだった。




 


えーっと……。オークションの進行役の人の名称がやっぱわからん。オークションマスター?なのかな?まあいいや、説明的でスマンです。あと、説明覆面の男たちはロイの部下(仕込み)でもいいし、ロイ暗殺部隊のマフィアの混成チームの方でもいいし。次の方へ託しますううううっ!ノリヲ
コールドレイン 第18話
 
 
会場内の空気が一変した。
装飾品だけでなく、人さえも商品として売買される中で、楽しみ賑やかさに覆われていたホールが、ロイの登場によって静まり返っていたのだ。
 
怯むことなく、媚びることもなく。
威風堂々とステージに立ち客席を見下ろすロイは、自分がこの場で一番優位なのだと全身で言っている。まるで今夜の主役。
 
「さすが、ロイ・マスタング……こうでなくては娘婿にはできんな」
 
ワインを片手に揺らしながら、ファルザーノは満足気に青い瞳を細める。だが、その一方でフィオレッナの機嫌は下がるばかりだ。
 
せっかく用意した自分のシナリオが台無しになったのだから。
切り札の人形を念入りに、それこそ大切に磨いていたというのに……。
 
しかも、その人形の引き取り手が。
 
あの、オリヴィエ・ミラ・アームストロングだなんて。
 
「まったく、なんて忌々しいのかしら…」
端整で美しい顔が歪む。
そんな娘を横目で見ながら、さも楽しいものを見ているかのようにファルザーノの口端が上がる。
年齢と経験の差が、そのまま余裕の違いへと顕著に現れていて。
だがコルネオ家の跡継ぎは、血筋だけでなく気性も含めこの娘しかいない。わが子可愛さではない、ファルザーノの心はすでに決まっている。
 
「まだまだ、譲るわけにはいかないがな」
 
やがて、静かだったホールにざわめきが起こる。それは小さな波紋がどんどん大きく広がっていくように、その場が客のざわめきによって支配されていく。
 
「ねえ、あなた…ロイ・マスタングを私の為に落としてくださいな」
夫君におねだりするマダムに、
「お父様! 私あの方が欲しいわ!」
と父親にせがむ娘。
はたまた、
「ちょうど、一人寝には飽きたのよね」
と微笑む未亡人と、すべての女性達の視線が、熱くステージ上のロイへと注がれていた。
だが熱い視線は女性だけではない。
 
「これは面白い趣向だ。彼を足元に跪かせるのも一興…」
そう、ほくそ笑むのは、恐らく軍関係者のもの。あと、純粋にロイが好みだったりするもの。
色々な思惑でざわめくホールに、「これは、私もぜひ参加したいな」と、ファルザーノも本気なのか冗談なのかわからない口調でポロリと零す。
 
「………お父様…っ」
「まあ、主催者だからな…参加できないのは残念だ」
「お父様っ」
「もっとこの状況を楽しみたまえ、フィオレッナ」
 
地を這う様な娘の声と眼差しにも、父親でありファザーコルネオであるファルザーノはまったく動じない。
だが、二人に大きな爆弾が投下されるのもあと少し。
 
 
「君、そろそろ始めてはどうかね?」
「あ、は、はい!」
威圧感と優雅さ、そして色香と独特の雰囲気に当てられていた司会者が、商品であるロイから指摘され慌てて客席に向き直す。
 
「え、では。本日最後の商品です。まずは、100万センズから…」
 
100万センズから―――歴史的価値のあるもの、文化的価値が一般的に認められているもの、そういった【物】とは違い、【人】の価値はここでは限りなく低い。
人の命に金額はつけられない、そういった言葉はここには存在しないのだ。
 
「500万!」
「素敵よ、あなたvv」
 
どこか間違っている円満なご夫婦と、
 
「お父様っ!早くっ」
「任せなさい、800万だ!」
「凄いわ、お父様!」
 
やはり間違っている父親の威厳とか、「なら私は……1000万」と、未亡人も譲る気は毛頭ない。
 
どんどん釣り上がるロイの値段に、会場内は異様なまでに盛り上がりを見せている。
当のロイといえば。
まるで高みの見物よろしく腕を組み、顎をクッとあげ笑っている。
 
「5000万だっ!」
 
これでどうだ!と言わんばかりの金額に、「おぉ…」というどよめきがホール内に沸き起こった。
 
「5000万センズ、他にはいませんか? ないですか、ではこれで……」
「一億だ」
「…は、あの」
「一億だと、言っている」
 
通った声から発せられる金額に、誰もが息を呑む。人としては破格の金額と、問題は何よりその人物だ。
 
いつの間にここへ来ていたのか。
本来なら、最後尾の席になどいるはずのないその人物に視線が一斉に集まる。
 
 
―――オリヴィエ・ミラ・アームストロングと。
そして、彼女の隣に座っている真紅のドレスに身を包んだ、金色の輝きを放つ子供に。


 

どーっしても、お姉さまに一声してもらいたくて。こんな感じのオークションになってしまいました(汗
最初は、まだ薬が切れていないエドたんが必死にオークションに参加、みたいなのを考えていたんですけどね(汗
あとは、あとは頼んだぞっ、友よ!!(←あ、逃げた)
まいこ
一瞬だった、それはきっと瞬き一つの間ぐらいだったかもしれない。
けれど自分はそれを見逃す程に、生ぬるい人生など送ってきたつもりはない。

フィオレッナの瞳が揺れた。
動揺か・・・それとも別の要因か。

同じく視野の中に入れていたファルザーノは眉一つ動かさなかったあたりさすがである。娘とは越えてきた修羅場の数が違うのだろう。
だが、フィオレッナの反応だけで十分だった。

知り合いだ、と確信する。

それも「面識」程度のものではない。

恐らく、それも何だかの繋がりがあるに違いない。

この親子が利益なしで誰かと関わりを持つことはないだろうが、その利益がわかり易く露見するには軍の大佐である自分以上にあまりにもキケンな相手だろう。それを考えれば私的な個人的な関係だろうか?

ヒューズを通してエドワードのことを頼んだ折、そんな話は聞いていないんだが・・・と内心舌打ちする。
「面白そうだからのってやる」と投げ捨てるように言った彼女の口調が強烈だったと、悪友は苦笑いしていた。

「軽い、面識程度にはね・・・」
とファルザーのは笑った。嘘をここまで綺麗につき通す男を自分は今だかつてみたことはない。この男が渡ってきたこれまでの人生を物語っているようで正直ゾクリと背中に冷たいものが走った。

「ええ、そうですわね。とても素敵なお姉さまでしたわ」
と貼り付けた笑顔でそう答えるフィオレッナのほうが余程人間らしさを感じる。

しかし・・・これはこれは、気をつけないと自分もあの女王様に足元をすくわれかねない。あの女王様も厄介なところと繋がっていたものだ。

だが、もうサイは投げられた。

誰にも止められない、進むしかないのだ。

扉が開いた。
それまで少し遠かった司会者の声がはっりとクリアに聞こえてくる。

「それでは本日最後となりましたその商品は・・・・」

その言葉に促されるように立ち上がり、開いたドアへと歩を進める。

「ご自分を安売りまでして、助けるあの子の価値とは・・・いかほどのものかしら」
誰に問いかけたともわからない口調で、ロイの背に投げられた言葉。
思わずかけられたその言葉に立ち止った。


「あの子を人形程度にしか扱えない貴方には、その真価は図れないでしょう。あれは手駒としても術師としても実に使い勝手のいい部下だ。手放すには惜しい・・・・・」
本音と建前を織り交ぜながらそう答えた。

「ああ、一つ訂正を」と言いながらロイは振り返った。

「私は、安い男ではないですよ?見くびって頂いては困る。何しろあなたの伴侶となる男ですからね」と静かな宣戦布告を残して。

暗いそのホールの中、まるで舞台さながらのスポットライトの光があてられたその場所に・・・・・ロイは進み出る。

「ロイ・マスタング・・・・地位は大佐です。国家錬金術師で二つ名は焔。どうぞ皆様お見知りおきを・・・」
とまるで舞台挨拶思わせるような仕草で一礼すると・・・不敵に笑った。

さぁ、宴とやらの仕上げを始めようじゃないか?


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と、いう訳でオークションまで辿りつけなかった・・・(殴っ)
・・・・後は頼んだぞ友よっ。←こらっ


つぐみ拝









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ILLUSTRATION BY nyao