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いつだったか暇つぶしに読んだ本に、同性同士の性行為は禁忌なのだと書かれてあった。何でも、同性同士で交わったところで子孫を残すことは出来ない―つまり何も生み出せないから、らしい。

(んじゃオレってば、ま~た禁忌を犯しちゃったわけね)

カーテンの隙間から漏れてくる月明かりが妙に眩しくて目が覚めてしまい、それからすっかり眠気が去ってしまったオレは、傍らで眠る男の端正な寝顔をぼんやりと見つめながらとりとめの無い瞑想に耽っている。

(でもさ、本当に、何も生み出してないのかな…オレと、アンタの間に、何も無いのかな…)

男と女は愛し合い、交わって子を成す。男と女の愛の対価が子どもという考えになるか。けれども、生物学的にはそこに愛が無くとも、子は成せる。つまり、対価が無くともいいということだ。となると、無から有は生み出せないはずの原則など、初めから有って無いようなものではないか。

(決して、世間一般の甘ったるい恋愛関係ってわけじゃねえけど、でも…揺るぎ無い信頼と、言葉に出来ない感謝と、そんでやっぱり、こうして側にいられる安心感ってのも…生まれたうちには入んねえのかな…)

愛の無い男女と、愛かどうかまだ定かではないけれども、たくさんの感情を持って側にいる同性同士、いったいどちらが罪人なのだろう?

(ってかそもそも、愛って一体何なんだよ?男女の場合と男同士でそんなに違うっての?…何かすっげー理不尽)

人が人を想うその重さに、尊さに、温かさに、一体どれだけの差があるというのだろう。その気持ちを伝え合い、交換することにこそ、愛という形のないものの答えが隠れているのではないだろうか。

(あーそうだよ、絶対そう!…っつーか、何だってオレ、こんなに必死にくだんねーこと考えてんだろ。あんな本、所詮ヒトの生み出した一つの理論に過ぎないってのに)

科学者でもある自分が、何をこんな哲学じみたことを考えているのだろう。おかしくて笑えてきそうだ。

(でも…考えずにいらんねーんだよな…)

オレは、この男から本当にたくさんのものを貰っていると思う。人体錬成という禁忌を犯したちっぽけなガキを、それでも嫌がらずに面倒を見てくれている。嫌味な口調と胡散臭い笑みに隠された気遣いと信頼に、自分自身ちゃんと気付いている。恥ずかしくて礼など言えたためしが無いが、本当はいつだって感謝している。歩むべき道に迷った時はさり気なくその道を教えてくれるし、時には悪役になってでも目的を見失わないよう叱ってくれる。―なのに、果たして自分は何を返せているだろう?

(うん、何も返せてねーや…)

錬金術の原則を超えた、何より大切な人と人との原則すら守れていない自分は、本当に罪深い存在だ。

(ごめんな、大佐…)

そっと漆黒の髪に触れ、撫でてみる。少し硬めの、けれども手入れの行き届いた艶やかな髪はオレのお気に入りだ。やわやわの猫っ毛で、金髪のオレとは触り心地も色も全く違うし、いつも「君の髪は日の光に煌いてとても綺麗だね」と言ってくれるけれど、手入れの行き届いた黒い髪だからこそ、風になびく度にきらきら光を反射して、本当に綺麗だな、なんて思わされるのだ。

「眉間にしわ寄せて、何を考えているのだね…?」

「あ、悪ぃ、起こしちまった?」

ふと気がつくと、髪と同じ漆黒の瞳がこちらに向けられていた。冷たい月の光を受けるその瞳は、それでも包み込むように温かで優しい。

「いや、君が目覚める前から、本当は起きていたのだよ。…それで、一体何を考えていたのだね。君のことだから、また突拍子も無いことでも考えていたのだろうが」

「え…」

一回り以上年上の恋人には、オレの悩みなんてお見通しらしい。少し前までは、それがどうにも癪に障って悪態ばかりついていたのだけれども、今は彼が持てる感情全てをフルに使ってオレを理解しようとしてくれているからだと分かるから、その洞察力にただ驚くだけだ。

「そんなに驚かなくとも…こうした関係になったのは最近だが、後見人としての付き合いはそろそろ四年になるだろう?君の思考回路の構造も、ある程度は理解しているさ。大方、私に何も返せていないだとか、私との関係について考えていたのだろう?」

(うわ…本当にお見通し…)

改めて驚くオレに苦笑しながら、大佐はさわさわと頭を撫でてくれる。大きな温かい手が心地よくて、猫よろしく擦り寄って甘えたくなるほどだ。

「よく聞きたまえよ、エドワード。私は君を好きで、君は生きがいであるアルフォンスの次に私が好き。今はそれで充分だ。私の望みは、君の望みが叶ったその後の時間を共に過ごすことだからな。その時に目一杯返してくれればいい。だから私との関係に、不安など感じることは無いのだよ」

そもそも君との関係くらいで潰れる私だと思うかね?と、大佐は不敵な笑みを浮かべる。切れ長の漆黒の瞳はキラキラと輝いて、オレには青い焔が宿っているように見える。一見クールで飄々としているようにしか見えない彼だが、胸のうちには大いなる理想と野心の焔を宿している。彼はまさに存在そのものが焔なのだと、そんな彼だから、ついていってもいいと思える。

「そうだな…うん、アルの体とオレの手足取り戻したら、オレの全部をアンタにあげるよ。だから…」

―今は目一杯、オレを愛して。

そっと耳元で囁けば、恋人はこの上なく甘いながらも熱の篭った眼差しでオレを見つめて、深い深いキスをしてくれる。

「不安になったらいつでも言っておいで。そんなもの、私の焔で焼き尽くしてあげよう」

「うん…そうしてくれ」

折り重なる体と同じように、心も折り重なるのを感じる。理屈などではない。今のこの時をこうして折り重ねて、これから続く未来へと繋げていく。たくさんの想いを交換し、新たな幸せを生み出していくのだ。

 

―それこそがオレたちの、愛のかたち。



お久しぶりです!笹嶋樹です。何かシリアスですみません(滝汗)お約束どおり年明け前に書けました…!

 

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ILLUSTRATION BY nyao