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-------------●ここは鋼の錬金術師「ロイ×エドSSリレー企画」の二次創作サイトです♪●-------------※全ての画像・テキストの無断掲載持ち帰りはしないでください・初めての方は「about」をお読みください※since07/10/25
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ノリヲ様が書いてくださった拍手の説明SSです♪こちらにお引越しせさました。


「これからもがんばるにゃ!」

猫のロイは唐突に叫びました。
手に持った鉛筆を高々と天井に掲げることまでしています。
その様子を見ていた金色の仔猫のエドワードは呆れ顔をロイに向けます。

「……ロイ…アンタいきなりどーしたんだよ…」

ロイ・マスタング。彼はクールさが売り物の大人の猫だったはず。
そう、ムカつくことにお嬢さん猫たちにモテモテな。
そのロイが「がんばるとも…」ではなく「にゃ!」。

「熱でもあるのか?それともなんか変なモンでも食ったとか……」
「そんなことはないとも!!私はここに決意を表明しようかと…」
「あーはいはい。熱でも測ってやろうか?それとも猫草食べるか?」

ロイの決意が何だとか、そんなことは面倒でエドワードは聞く気にもなれません。

「だからっ!!聞きたまえよ!!」
「あー……はいはい、聞いてやるからさっさと寝ろ」

エドワードの投げやりな口調など気にも留めず、
ロイはちょっと頬を染めコホンと一つ咳をしてから
ゆっくりと告げていきます。

「これからも楽しんでロイ×エドリレーを錬成するとも」

その発言にあーそうだったとエドワードはシッポを揺らしました。

挨拶は人生の基本、とアルフォンスにも言われ続けているエドワードです。

「こんなところまで遊びに来てくれてサンキューな。これからも『カステラ部屋』の応援頼むぜ!」

うむうむとロイは頷きます。

「メンバーが一番楽しんで錬成しているリレーだがな。読者様にもその楽しさが伝われば幸いだ」
「……あとなんか言っとくこととかあったっけ?」

うーむとに二匹の猫はお互いの顔を見合わせました。

「あ、そうそう。拍手イラスト・小噺は現在、俺たちのこの会話1種だぜ」
「読者様からいただいた大切なコメントの返事は…どこでするんだったかな、エドワード」
「大事なこと忘れんなよロイ。返事は【拍手お返事部屋】にて、だろ?」
「返信不要の場合は冒頭に*を入れてくれたまえ」

あと忘れはねえよな?と二匹は再度顔を突き合わせました。
大丈夫なようです。

「では…」
「応援ありがとう!!」
「また来てくれたまえ」

言い終わった二匹は満足のようです。
が、一瞬後にはまたもや呆れ顔に戻ったエドワードがそこにいました。

「…で、何で『にゃ』なんだよロイ?」
「……エドワード、もう一度」
「はあ?『にゃー』?ってか?」

エド猫のかわいらしい鳴き声にロイエド錬成の熱もますますあがるというものです。

「もう一度鳴いてくれないかね?」
「……さっさと錬成する。オレの猫パンチ食らう。…ロイどっちがいい?」

その猫手には既に爪も立ててるエドワード。
ロイは鉛筆をぎゅっと握りしめたまま「錬成するともー」とフェードアウトしていきました。

ちゃんちゃん。

**************
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コールドレイン 第18話
 
 
会場内の空気が一変した。
装飾品だけでなく、人さえも商品として売買される中で、楽しみ賑やかさに覆われていたホールが、ロイの登場によって静まり返っていたのだ。
 
怯むことなく、媚びることもなく。
威風堂々とステージに立ち客席を見下ろすロイは、自分がこの場で一番優位なのだと全身で言っている。まるで今夜の主役。
 
「さすが、ロイ・マスタング……こうでなくては娘婿にはできんな」
 
ワインを片手に揺らしながら、ファルザーノは満足気に青い瞳を細める。だが、その一方でフィオレッナの機嫌は下がるばかりだ。
 
せっかく用意した自分のシナリオが台無しになったのだから。
切り札の人形を念入りに、それこそ大切に磨いていたというのに……。
 
しかも、その人形の引き取り手が。
 
あの、オリヴィエ・ミラ・アームストロングだなんて。
 
「まったく、なんて忌々しいのかしら…」
端整で美しい顔が歪む。
そんな娘を横目で見ながら、さも楽しいものを見ているかのようにファルザーノの口端が上がる。
年齢と経験の差が、そのまま余裕の違いへと顕著に現れていて。
だがコルネオ家の跡継ぎは、血筋だけでなく気性も含めこの娘しかいない。わが子可愛さではない、ファルザーノの心はすでに決まっている。
 
「まだまだ、譲るわけにはいかないがな」
 
やがて、静かだったホールにざわめきが起こる。それは小さな波紋がどんどん大きく広がっていくように、その場が客のざわめきによって支配されていく。
 
「ねえ、あなた…ロイ・マスタングを私の為に落としてくださいな」
夫君におねだりするマダムに、
「お父様! 私あの方が欲しいわ!」
と父親にせがむ娘。
はたまた、
「ちょうど、一人寝には飽きたのよね」
と微笑む未亡人と、すべての女性達の視線が、熱くステージ上のロイへと注がれていた。
だが熱い視線は女性だけではない。
 
「これは面白い趣向だ。彼を足元に跪かせるのも一興…」
そう、ほくそ笑むのは、恐らく軍関係者のもの。あと、純粋にロイが好みだったりするもの。
色々な思惑でざわめくホールに、「これは、私もぜひ参加したいな」と、ファルザーノも本気なのか冗談なのかわからない口調でポロリと零す。
 
「………お父様…っ」
「まあ、主催者だからな…参加できないのは残念だ」
「お父様っ」
「もっとこの状況を楽しみたまえ、フィオレッナ」
 
地を這う様な娘の声と眼差しにも、父親でありファザーコルネオであるファルザーノはまったく動じない。
だが、二人に大きな爆弾が投下されるのもあと少し。
 
 
「君、そろそろ始めてはどうかね?」
「あ、は、はい!」
威圧感と優雅さ、そして色香と独特の雰囲気に当てられていた司会者が、商品であるロイから指摘され慌てて客席に向き直す。
 
「え、では。本日最後の商品です。まずは、100万センズから…」
 
100万センズから―――歴史的価値のあるもの、文化的価値が一般的に認められているもの、そういった【物】とは違い、【人】の価値はここでは限りなく低い。
人の命に金額はつけられない、そういった言葉はここには存在しないのだ。
 
「500万!」
「素敵よ、あなたvv」
 
どこか間違っている円満なご夫婦と、
 
「お父様っ!早くっ」
「任せなさい、800万だ!」
「凄いわ、お父様!」
 
やはり間違っている父親の威厳とか、「なら私は……1000万」と、未亡人も譲る気は毛頭ない。
 
どんどん釣り上がるロイの値段に、会場内は異様なまでに盛り上がりを見せている。
当のロイといえば。
まるで高みの見物よろしく腕を組み、顎をクッとあげ笑っている。
 
「5000万だっ!」
 
これでどうだ!と言わんばかりの金額に、「おぉ…」というどよめきがホール内に沸き起こった。
 
「5000万センズ、他にはいませんか? ないですか、ではこれで……」
「一億だ」
「…は、あの」
「一億だと、言っている」
 
通った声から発せられる金額に、誰もが息を呑む。人としては破格の金額と、問題は何よりその人物だ。
 
いつの間にここへ来ていたのか。
本来なら、最後尾の席になどいるはずのないその人物に視線が一斉に集まる。
 
 
―――オリヴィエ・ミラ・アームストロングと。
そして、彼女の隣に座っている真紅のドレスに身を包んだ、金色の輝きを放つ子供に。


 

どーっしても、お姉さまに一声してもらいたくて。こんな感じのオークションになってしまいました(汗
最初は、まだ薬が切れていないエドたんが必死にオークションに参加、みたいなのを考えていたんですけどね(汗
あとは、あとは頼んだぞっ、友よ!!(←あ、逃げた)
まいこ
一瞬だった、それはきっと瞬き一つの間ぐらいだったかもしれない。
けれど自分はそれを見逃す程に、生ぬるい人生など送ってきたつもりはない。

フィオレッナの瞳が揺れた。
動揺か・・・それとも別の要因か。

同じく視野の中に入れていたファルザーノは眉一つ動かさなかったあたりさすがである。娘とは越えてきた修羅場の数が違うのだろう。
だが、フィオレッナの反応だけで十分だった。

知り合いだ、と確信する。

それも「面識」程度のものではない。

恐らく、それも何だかの繋がりがあるに違いない。

この親子が利益なしで誰かと関わりを持つことはないだろうが、その利益がわかり易く露見するには軍の大佐である自分以上にあまりにもキケンな相手だろう。それを考えれば私的な個人的な関係だろうか?

ヒューズを通してエドワードのことを頼んだ折、そんな話は聞いていないんだが・・・と内心舌打ちする。
「面白そうだからのってやる」と投げ捨てるように言った彼女の口調が強烈だったと、悪友は苦笑いしていた。

「軽い、面識程度にはね・・・」
とファルザーのは笑った。嘘をここまで綺麗につき通す男を自分は今だかつてみたことはない。この男が渡ってきたこれまでの人生を物語っているようで正直ゾクリと背中に冷たいものが走った。

「ええ、そうですわね。とても素敵なお姉さまでしたわ」
と貼り付けた笑顔でそう答えるフィオレッナのほうが余程人間らしさを感じる。

しかし・・・これはこれは、気をつけないと自分もあの女王様に足元をすくわれかねない。あの女王様も厄介なところと繋がっていたものだ。

だが、もうサイは投げられた。

誰にも止められない、進むしかないのだ。

扉が開いた。
それまで少し遠かった司会者の声がはっりとクリアに聞こえてくる。

「それでは本日最後となりましたその商品は・・・・」

その言葉に促されるように立ち上がり、開いたドアへと歩を進める。

「ご自分を安売りまでして、助けるあの子の価値とは・・・いかほどのものかしら」
誰に問いかけたともわからない口調で、ロイの背に投げられた言葉。
思わずかけられたその言葉に立ち止った。


「あの子を人形程度にしか扱えない貴方には、その真価は図れないでしょう。あれは手駒としても術師としても実に使い勝手のいい部下だ。手放すには惜しい・・・・・」
本音と建前を織り交ぜながらそう答えた。

「ああ、一つ訂正を」と言いながらロイは振り返った。

「私は、安い男ではないですよ?見くびって頂いては困る。何しろあなたの伴侶となる男ですからね」と静かな宣戦布告を残して。

暗いそのホールの中、まるで舞台さながらのスポットライトの光があてられたその場所に・・・・・ロイは進み出る。

「ロイ・マスタング・・・・地位は大佐です。国家錬金術師で二つ名は焔。どうぞ皆様お見知りおきを・・・」
とまるで舞台挨拶思わせるような仕草で一礼すると・・・不敵に笑った。

さぁ、宴とやらの仕上げを始めようじゃないか?


_________________________________


と、いう訳でオークションまで辿りつけなかった・・・(殴っ)
・・・・後は頼んだぞ友よっ。←こらっ


つぐみ拝









――動け、動けっ!
何も見えず、何も感じず。聴覚以外はすべて閉ざされたこの身体。そんなものがなんだというのだ。
――動けって言うんだよっ!!
心が叫んだとしても薬の効果は確実にエドワードを苛んでいた。動かない、何も感じない。ロイとフィオレッナが立ち去り、一人残されてこの部屋では聞こえてくるものすらなくて。
――だけどね、安心おし。これ以上君に何かをさせやしないから。
そんな言葉が欲しかったんじゃない。自らの足でこの屋敷に乗り込んだのはロイにこんなことをさせるためではないのだ。
油断をしたのは自分のミスだ。ここが敵陣であることを忘れていた。いや、忘れていたわけではない。だけれども……。結果として自分がロイを窮地に追い込んだのだ。
――させるか、そんなこと。
動かない身体で何ができるというのか。そんなことは関係ない。動け。今ここで動けないままで、ロイに守られたままで。そんなのは嫌だ。絶対に。
動かないはずのエドワードの口元が、再びたどたどしく<ロイ>と象る。ほんの幽かに睫毛が揺れて。

そうして少しずつ。
エドワードの金色の瞳に炎が灯り始めていった。


オークションは時間通りに開催された。ロイが案内された部屋までも、その歓声や拍手の音が聞こえてくる。それでは次の品です。さる国宝館から持ち出された純金の処刑刀です。落札価格は一億センズからスタートです……との司会の声に被さるように一億、一億五千万……と値を張りあげる参加者の声が上がる。
それらを気にも留めずにロイは悠々と椅子に腰をおろしていた。
当然この屋敷に入る時点で携帯していた銃もポケットの中に忍ばせていた発火布も取り上げられている。
――まあ、そう思わせるようにあえて上着に発火布を忍ばせておいたのだけれどね……。
ロイはあくまでも静かな面持ちで、自身がオークションにかけられるその時を待っている、かのように見せかけていた。そうした後、ちらりとオークション会場へとつながる扉の方へと視線をやった。そして、腕を固く握りしめるように組み直した。緊張でもしていると思わせるかのようなしぐさをとってみる。そして、思考だけを働かせる。手筈は済んだ。部下の配置も、そして。考える。何度も何度も。一つずつ、腹心の部下の配置、ヒューズとの連絡そしてアルフォンス、それから……。状況を確認する。オークションの進行状況。ロイ自身の状況。案内されたこの部屋に居るのはファルザーノとフィオレッナ。武器を携帯した幾人かの護衛の者たち。ロイの計画を覆す要因はまだ何一つとして見えない。大丈夫、うまくやる。エドワードを助け出す。そのために自分をオークションで売るなどという餌を放った。その餌にうまく食らいついてくれたと思うのはまだ早い。まだ、布陣を敷いただけ。これからが本番なのだ。ロイは自身の武器を確認する。もともと身につけている何も書かれていない一見普通の白い手袋。そこには手袋の白と同じ色で錬成陣を織り込んでいる。白い布地に白の糸で、手袋の内側に仕込まれている錬成陣。
ボディ・チェックなどされたところで発覚のしようのないそれがロイに残されたものだ。が、それだけが武器なのではない。
エドワードをこの家から自由に解き放つために。そして、反撃のために。 ロイは無言のまま、時を待った。
「そうそう、マスタング君。君の落札条件だがねえ、君の欲しいものをとある人物の元へと傷一つなく届けるといことだったな。それはいったい何なのかね?」
グラスに注がれたシャンパンの香りを確かめながら、ふと思いついたようにファルザーノは問いかけを発した。
「面白いからと即答したが。それが何だったのか、具体的に何かということを聞いてはいなかったねえ」
含みを持たせるように、また何かの探りかけのようにファルザーノはシャンパンを口に含んだ。ロイは大したことではないとばかりにあっさりと告げた。
「この屋敷に捕らわれている私の部下、ですよ。鋼の錬金術師、エドワード・エルリック。彼を、無事に……そう、ある人物へと引き渡してもらいたい。その人物にはすでに連絡済、といいますか非常に乗り気でしてね。彼女は……鋼のが到着するのを今か今かと待っていていただいています。たいそう彼を気に入っていただいて、ですね。ああ、そうですね。無事に到着しない場合は実力行使をしてでも奪いに来るでしょうね……」
そうなったら私でももう手に負えませんねと、わざとらしくロイはため息までを吐き出した。
「彼女……、とは誰のことかしら?」
問いかけてきたのはファルザーノではなくフィオレッナだった。
「麗しの女傑、とでも言いましょうか。……オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将。あなた方もよくご存じのことでしょう」
ロイはフィオレッナに艶やかな笑みの表情を向けた。






やっぱりいるよな、おねー様の登場場面と思って……。
突発錬成、ノリヲでした。
それでは後は任せた友よ…っ!!
コールドレイン 第15話
 
心がこんなにも悲鳴を上げているのに、涙がでてこない。
いや、きっと出ているのだろう。
 
フィオレッナの「泣いているの?」という言葉がそれを証明している。けれど、泣いている実感がない。
頬を伝っているだろう涙の温かさや、何かを感じ取ることが今のエドワードにはできないのだ。
 
ただ、心が壊れそうなほどに苦しい。
 
何も出来ない自分が悔しくて。
助けに来たはずなのに、逆にロイに助けられて苦しくて。
そんなロイを助けることができなくて、辛い。
 
俺……ケーキなんか食うんじゃなかった。
 
日課になっていたとはいえ、どんなに美味しかったとしても、だ。ここは敵陣だったのだから。
 
ケーキ一つのせいで、ロイが売り買いされてしまう……そんなの嫌だ…。
 
自力で何とかできたはずなのに、何もできない。あまりに迂闊な展開に、エドワードの落ち込みに拍車がかかる。
 
自己嫌悪と不安と心配が入り乱れて、もうエドワードの心理状態はぐちゃぐちゃだ。
そんな状態でも、唯一残された聴覚は研ぎ澄まされていて、段々と近づいてくる足音を拾っている。
 
足音は、二人分。
一人は恐らく女性で、もう一人は―――。
 
「もう時間ですのよ、商品が遅延なんてあってはならないことなのに」
「ええ、分かっていますよ。ですが、一目彼の無事を確かめておかないと、気が気でなくて客の前で愛想笑いもできない」
「困った人ね」
 
足音と共に耳に飛び込んできた声は。先ほど退出したはずのフィオレッナと、―――ロイ!?
 
ドアが開き、二人が入ってくるのが分かる。いや、一瞬だがロイの歩みが止まった。と同時に息を呑むような緊張感を、エドワードはロイから感じとった。
 
恐らく、自分のこの有様を見て驚いたに違いない。
 
フィオレッナの足音は途中で途絶え、ロイの足音だけがエドワードへと近づいてくる。
 
どんどん近づいてくるロイの足音が止まった。
エドワードの真正面に、今ロイがいて。すうと、息を呑んでいる気配を感じる。
 
「その子に触っても無駄よ。何も感じないのだから」
「………君は、……エドワードに何をした」
 
ロイの手がエドワードの頬に当てられて、けれどエドワードからは何の反応もない。透き通った金色の瞳は焦点が定まっておらず、虚ろだ。
けれど、その頬に涙が伝った後がある。
 
ぎりぎりのラインで、ロイは平静を保っていた。
発火布で燃やし尽くしたい衝動を必死に押さえ込み、呼吸をどうにか整える。
 
「大丈夫よ、依存性も副作用もない優れものだから。それにね、耳は聞こえるから私達の会話は、その子に筒抜けよ」
「……そうか」
「さあ、もう良いでしょう? 時間がないわ」
 
本当に時間が押し迫っているのだろう。フィオレッナの声に焦りが含まれている。
けれど、ロイはこんな状態のエドワードから離れがたい。
 
薬を使ってまで、こんな状態にして一体何をするつもりだったのだ? お遊びというのなら、度が過ぎている。
「だけどね、安心おし。これ以上君に何かをさせやしないから」
 
エドワードの両頬を、そっとその手で包み込む。
 
「行ってくるよ。でも心配はいらないから…」
 
最後に耳元へくちづけを。
たとえ見えていなくても、エドワードを見つめロイは優しく微笑んだ。
 
だが時間に苛立ったフィオレッナに向き直ると、「では、参りましょうか」口端を上げた、どこまでも不適なロイがそこにいたのだった。
 
 
 
エドワードの耳から遠のく二つの足音。そして、ドアが閉まり完全に何も聞こえなくなる。けれど。
耳元で何度もリフレインされている言葉が、エドワードの頬を今一度濡らしていた。
 
それは、最後にロイが耳元で囁やいた、たった一つの言葉。
 
 
――――愛しているよ。
 
 
やがて、動かないはずの人形の口元が、たどたどしく<ロイ>と、かたどっていくのだった。




どうしても、ロイの「愛してるよ」の言葉を入れたくて(汗
久しぶりな台詞に、自分が恥ずかしいです(←でも書きたかったんです・汗)
そして、最後はやっぱり……「続きは頼んだぞ、友よ!」
まいこ
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ILLUSTRATION BY nyao