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-------------●ここは鋼の錬金術師「ロイ×エドSSリレー企画」の二次創作サイトです♪●-------------※全ての画像・テキストの無断掲載持ち帰りはしないでください・初めての方は「about」をお読みください※since07/10/25
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怒っている、その理由。

カワウソロイにはそんなもの判る筈はなかった。出会ったその一瞬で惹かれ、本能のままに貢物を送り……受けとってもらえればそれでもう後は大丈夫。らぶらぶ生活の開始だと、そう、カワウソ生活ではそれで万事おっけー!だったはずなのだ。

なのに。



怒っている理由。

本物なら分かるはず。



……わからないのは私が「本物」ではないからなのか。目の前の「本物」なら怒っている理由が分かるのか……。


寒かった。冷たかった。足もとからじんじんと伝わってくるその痛み。カワウソの時には感じたこともない冷やかさ。好きな相手の気持ちがわからないというのはこんなにも心が苦しいものなのか……。



人間と言うのは難しい。カワウソロイが初めて己の身を振り返った瞬間だった。カワウソ時代には考えたことはない。いつだって確かにメスへの求愛行動は行っていた。が、形としてカエルとかザリガニとか小魚とかを貢げば、もうあとは……と、いうように苦労などしたことはない。



こんなことならあの声が聞こえた時に『人間にしてくれ』と願うのではなくて『人間になってあの子とラブラブになりたい』と願えばよかった。今更後悔しても遅かった。もうあの願いは叶えてもらっている。ならば、今ここで自分が頑張るしかないのだ。求愛行動。そうだ、二匹のオスがメスを取り合って、そして勝つというのが素晴らしいことなのではないのだろうか。強いオスに惹かれるのがメスと言うものだ!!



カワウソロイの短絡思考。所詮動物なので許してほしい。が、エドワードはメスでもないし動物でもない。最年少国家錬金術師、つまりは天才だ。短絡思考など…まあ、感情の赴くままに突進することがしばしであるが…今回に限ってしてはいなかった。そうなぜならエドワードはふかーく、そして静かに怒っているのだから。どちらが本物などわかりきっている上で、あえて「怒ってる?ふぅん?そんなもん、本物のロイならわかる筈だけど?」などど告げてやったのだ。そんなことカワウソロイは知り得もしなかったのだが。




が、カワウソロイと同様にロイ・マスタングもエドワードが怒っている理由など未だ検討はつかなかった。しかしそこで「わからない」などとストレートにいうのでは国軍大佐など務まらない。口八丁はお手のものだった。

「……君ね。私が本物かどうかなど、錬金術を使えばすぐわかるだろう?」

いかにも呆れました、と言うような口ぶりで、肩をすくめ、ため息までついてみる。一目見て、どちらが本物なんて当然天才錬金術師エドワード・エルリックに判るらないはずはないではないか。なのにわざとらしくこのようなことを言ってくるとはエドワードは何かしらに怒っているのだ。判断するには材料が足りない。ならば時間稼ぎでははいが、真正面から切り返すのではなく、横に話を逸らしてみよう。


姑息な三十路国軍大佐である。が、エドワードは白い眼をロイに向けただけだった。



「へーえ?錬金術?ふーん、使えんの?」

疑り深げなエドワードの目線。ロイはふふんと鼻を鳴らす。

「当然だとも!焔の錬金術師、ロイ・マスタング大佐だぞ、私は」

はっはっは、覚えておきたまえ!とテロリストたちに告げるときのようにロイは高らかに宣言した。

「焔くらいいくらでも錬成してやろうではないかっ!!」

高笑いを続けるロイ・マスタング。だが……、

「……そのずぶ濡れの手袋で、どーやって?」

エドワードの白い眼は健在だった。

ぴたりとロイの笑いが止む。

「……」

そうだった。はっと気がついたようにロイは自身の手袋を見た。これでは指パッチンができやしない。雪を水に、水を水素に分解することは可能だとしても……焔は錬成出来はしない。暖炉にあたっていればそのうち乾くであろうが…今はまだぐっしょりとしたままの手袋だった。



開けられたままのドアから、ひゅうううううううっと冷たい風が流れていく。ロイとそしてエドワードの間に木枯らしが吹きすさむ。それはまるでお互いの心を象徴しているようだった。



その風が吹き込んでくるドアの前にはカワウソロイが立っている。彼はエドワードとロイの心中など察知することなどなく、こう決意を込めて宣言した。

「焔くらい私にだって出せるとも!」

火を出して、本物と認めてもらえるのなら。焔くらい出してみせようではないか!!

いやいや、カワウソのロイ。焔の錬金術師かどうかの証明が問題なのであって火だけを出せばオッケーというわけじゃないんだよ、という突っ込みは心の中だけにとどめて欲しい。繰り返すが彼は野生動物だ。錬金術の「れ」の字も当然ながら知りはしない。だが…動物とてそう侮るものではない。民話にも言われている通り化ける能力も有している者もいるのだ。「かわそ」と言う名を聞いたことがあるだろうか。河童もしくはカワウソの別の呼び名である。一説によると「かわそ」とは「かぶそ」と言う名の妖怪だとも伝えられている。夜道を歩く人の提灯の火を消したり、女に化けて人をたぶらかしたり、人を化かして石や木の根と相撲をとらせたりといった悪戯をする。人の言葉を話すこともあり、道行く人を呼び止めたりもする…というようなまあ、妖怪だ。このカワウソロイはその「かぶそ」をご先祖様に持つ直系エリートカワウソなのだ。火くらいは頑張れば出すことくらい出来るだろう!そう、焔さえ出せばいいんだなっとカワウソロイは頑張った。

ご先祖様、お力を貸して下さい!綺麗なこの子に本物と認められるのなら……!!

今までの野生生活では無関係だった「かぶそ」直径だけが持つその妖術。それすら駆使してみせようと、意気込んで出したその焔は!!



ぼう……と、焔が一つ上がる。ゆったりと、漂うように。一つ……二つ……そして三つ。ゆらゆらと揺れ、ぼんやりと浮遊するその火の玉。



炸裂する勢いの炎ではない。まるで蠟燭の灯のようなの仄かな明かり。掌ほどの大きさの火の玉がふわりふわりとカワウソロイの周囲を浮遊する。



カワウソロイの出した炎は。

そう「鬼火」「天火」「狐火」「不知火」とその名と種類は数多くある、妖怪のオプションのあの怪火だった。





*************************************


……ノリヲでした。



「本物」と「偽者」の対決!?ならこれしかあるまいと思って…ああ、エドが怒ってるのは何故かって理由は2つくらいは思いついてんですけど、そこまで書けなかった…。


ちなみに、伝承これであってますか?民族学…大学で受けた講義ではたしかこんな感じだったんですけど。何せもう十年以上前だしねえ。記憶ちがっていたらごめーん。


それでは次の方にバトンタッチv




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暖かい暖炉の傍に招かれたのはあの男だけで。
そんな二人の様子を、ただ黙って後ろから見ているだけの自分がとても空しかった。寒さには慣れている筈なのに、人間の姿をしているせいだろうか。妙に雪の上にある足元が冷たく感じた。

どうしても、どうしても許せなかったのだ。
自分はだってそんな二人を見る為に、苦労して貢物を集めてきたわけじゃない。
だから気が付いたら、叫んでいた。

「わっ・・・私が本物の大佐だっ!!!!」

そうだっ、いっそ入れ替わってしまえばいいじゃないかっ。
こんなに似ているのだ。
何も本物にあんな美味しいところを持っていかせることなどないのだ。
例え、綺麗なあの子が。

馬鹿。
オッサン。
とち狂う。
その上オカシイ。

などと口では言っていても、先程の様子を見れば、どれほどにあの男を大事にしているかわかるというものだ。
優しくかけられたブランケット。
それは彼のくれる愛情にも思えて、カワウソに目にはどれほど羨ましく写ったことか。
それはとても、とても暖かそうだった。

私も、私も、彼にあんなふうに愛されたい。

食べ物や貢物を集めたのだって、全てはそう思ったからじゃないか。
そうだ、あの男だって・・・・彼が喜ぶと思えばこそ。
苦労して捕獲したんだ。こわーいお姉さんに銃で狙われながらも、命がけだったんだ。
そう、そしてカワウソの求愛行動は始まったのである。

呆然と振り返った二人に、カワウソは声高らかに今一度宣言する。

「私が本物だっ、そこにいるのが偽者だっ」と。

「何を言っている・・・・そんなものどこからどう見たって・・・」
と、いいかけたロイの言葉を遮ったのは、意外にもエドワードの声だった。

「ああ、そうだな。こんなに似ていちゃ、見分けがつかないよな?」

ロイはその言葉に目を見開いた。
彼がかけてくれたブランケットが肩からするりと滑り落ちた。

「君・・・何を・・」
言い掛けてロイは言葉を失った。
エドワードの口元が僅かに上がって見えた。

わざと?
わざとなのかっっ。

「君っ、どう見たってあっちがカワウソだろう?」
「そうか?」
しれっと答えるエドワードにロイはムキになって反論する。
「よく見たまえっ。百歩譲って着ぐるみはよしとしよう。が、こんな極めて動物っぽいひげのある人間がどこにいるんだね!」
「マジックかなんかで書いてんじゃねーの?」
エドワードはそんな無茶苦茶な理屈を言い返してきたのに、何故かその顔には不敵な笑みを浮かべていた。

その答えを受けて、男はふぅと小さく吐息をついた。
「何を怒っているんだ、君は」
「怒ってる?ふぅん?そんなもん、本物の大佐ならわかる筈だけど?」
そう言って「本物」を強調されれば返す言葉を失って、ロイは押し黙った。

「なぁ?」そう言ってエドワードが視線を投げた先は、「本物」だと宣言したカワウソロイのほうだ。
突然会話を振られて、カワウソロイははっと顔をあげた。
その拍子に揺れたひげに、思わず笑いそうになったが。
エドワードはぐっと我慢して、言葉を続ける。

「本物なんだろ?だったら俺が怒ってる理由、分かる?」


*******************************************************

と、いう訳で。
「本物」と「偽者」の対決!?です~(なんか違っ)
カワウソと比べられて本物かどうかなんて言われるこのロイの扱いって一体・・・。
すみません、こんなとんでもない展開になりましたが・・・どうぞどなたかバトンを受け取ってやってくださ~いっ。

つぐみ拝
「な…っ、た、大佐!?」

つづらの中から聞こえてきた甘いテノールに目を見開きつつ、エドワードは問いかける。

「ああ、鋼の…私だよ」

ごとごとごとっ、とつづらが揺れながら力ない返事をする。間違いなく、本来ならばここに来るはずのない、いつも仕事に追われていて忙しい(そして時々仕事をサボっては彼の腹心の部下に銃殺されそうになっている)、かの後見人様の声だ。

「ど、どういうことなんだ…?」

目の前にはおかしなイタチ(カワウソだが)の着ぐるみを着たロイがいて、つづらの中にもロイらしき人物がいて…一体どちらが本物なのだろうか?エドワードの優秀な頭脳を持ってしてもすっかり混乱してしまいそうだ。

(と、とにかく、中、見てみよう)

中を見てみないことにはどうしようもないだろうという結論に至り、エドワードは怖々つづらにぐるぐると巻かれた紐を解いていく。着ぐるみロイからは何の殺気も感じないけれど、いざとなればすぐに攻撃できるよう身構えるのは忘れない。

(南無三!!)

紐を解いて、つづらの蓋を一気に開けた。すると…。

「ふ~、やあ、鋼の」
「やっぱ大佐なのかよ!?え?え?ちょっと待てよ、じゃこのイタチの着ぐるみ着てる大佐は誰だよ!?」

疲れた顔でむっくりとつづらから出てきたのは、アメストリスの青い軍服を身に纏った黒髪に漆黒の瞳の男―紛れもなく後見人様だった。落ち着こうとしていたエドワードだが、2人のロイを見てますます混乱するハメになった。どちらが本物のロイなんだろうか…?

「いや…私にもよく分からないんだが、まあ世の中には自分に似ている人間が3人はいるという。君はつくづくこの顔の男に好かれるらしいな?…だが、こんなコスプレをする者とそっくりだとは…何だか悲しくて泣けそうだよ。あ、そうそう。彼のしているコスプレはイタチじゃなくてカワウソだぞ、鋼の」

つづらに押し込まれていて体が凝っているのだろう、軍服姿のロイは首や肩、腰をコキコキパキパキ鳴らしながら答える。さり気ない訂正も忘れずに。

「カワウソ?イタチじゃねぇの?ちっ、分かりづれぇコスプレしやがって。やっぱアンタに似てると皆変わった奴になっちまうんだな、大佐」

「失礼な。私はただ君を案じてこの山の麓まで駆けつけていたというのに…。だがこの雪だ、なかなか救出に行けず立ち往生しているところにこのカワウソ男が来てな。現場は大混乱だ。後ろから襲われてしまったせいですぐに対処できず、中尉も応戦してくれたんだが思った以上にすばしっこくて…気がつけば私はこのつづらの中だった、というわけさ」

「うわ、カッコ悪…」

「うるさいな!この雪では焔も出せな…ひっ、くしゅん!!」

あまりに歯に衣着せないエドワードに反論しようとした軍服姿のロイだが、中途半端なところで盛大にくしゃみをしてしまった。普段こんなに寒いところにはいないし、しかも薄着でつづらの中に押し込まれていれば無理もないことだった。

「わ、風邪引いちまったのかよ!?とにかく中入れよ、暖炉の側ならあったけーし!!」

エドワードは慌てて軍服姿のロイを暖炉の側へと連れて行き、自分が使っていたブランケットを持って、暖炉の側に座り込んでいるロイに掛けてやる。

(ああ、いいなあ…私にもしてほしい)

その間ほったらかしにされているカワウソロイは、甲斐甲斐しく(?)世話を焼いているエドワードの姿をぼんやりと見つめていた。だから彼は知らない。軍服姿のロイの世話を焼くエドワードの機嫌が、凄まじい勢いで急降下していることを―…。



う~ん、やっぱり私のギャグにはキレがないですねぇ…。こんなのでいいでしょうか…皆さんの続きに期待したいです!(ビバ☆他力本願♪)
トントントン、とノックの音がした時。エドワードはこの家の持ち主かその関係者でもがやってきたと思ったのだ。だから、雪山遭難しそうになった自分が緊急避難のために入り込んでいるだけであって、決してドロボウとか不法侵入ではないと、まず最初に言い訳もとい説明をしなければ……と、思って、歯切れ悪く「え~と…どなた?」などとエドワードにしては丁寧に問うたと言うのに。


……見れば見るほど殴りたくなる。この目の前のロイ・マスタング。


いや、救助に来たとか救援物資なりを持ってきてくれたのであればそこは本来感謝をするところだ。
だが、しかし。
「これを君に…」と差し出された籠、足元の食料、背後の怪しげな大籠その他色々なんかはこの際どうでもいい。はっきり言ってどうでもいいのだ。いや、がたがた動く怪しげな大籠は気にはなるのだが。それよりも問題は…。


……なんなんだ、大佐のこのコスプレはっ!!


イタチ(本当はカワウソ)の着ぐるみを身包んだロイ・マスタング。国家錬金術師にして国軍大佐。ついでではあるが自分の後見人。アンタもう三十路だろう!常識を持てっ!!
「………………………………あんた、何……してるんだ…?」
判ってほしい。この「……」の数の多さを。呆気に取られたというよりも、この「……」は無言の抗議。
「いや、ほらまずはこれを君に届けようと思って。雪に閉ざされているのでは難儀だろうと」
口説き落とすにはプレゼントから。野生動物の基本である。ゲットのためには食糧を!貢いで貢いで貢ぎまくれ!そうしてオスの持参した食べ物をメスが食べてくれたのなら大いなる前進。ここからが求愛行動の開始なのである。そう、野生の生き物としては当然の思考回路なのである。一にも二にも野生で生きていく上で必要なのは食べ物なのだ。一日の大半を食糧探しに費やす生活。それが動物と言うものだ。その本能し従ってカワウソのロイはこの雪山を駆け巡った。いや、駆け巡ったのは雪山だけではない。遠く、遠く、遥か彼方。カワウソの身の時には行ったことすらないところまで。貢物、食糧、薪などなど。金色の、キレイなあの子へのプレゼントをかき集めに。そう最大のプレゼントはがたがたと揺れている大きなつづらの中にある、いや、居る。これを捕まえてくるのが大変だったのだ。本来遠くの「司令部」と言う名称の建物に居るであろう「それ」が何のラッキーかこの山のふもとまでやって来てくれていたから何とか三日ですんだのだ。そう、三日。出会って人間になってから三日。それはプレゼントを集めるために費やした時間だったのだ。本当はさっさとその身一つでやってこようと思えばやってこれたのだ。だが…。カワウソのロイの目的はただ一つ。エドワードと再会することではなくて…・・・エドワードへの求愛行動。それに尽きるのだ。だからこそ雪に閉ざされ空腹であろうエドワードを慮って食料をかき集め。そして、エドワードが最大に喜ぶはずの「あの人物」をも確保して、つづらの中へ閉じ込めて…。はっきり言って難業だった。だが、カワウソのロイにその難業を可能にさせたのはエドワードへの下心…もとい愛情だった。燃やされそうになっても、撃たれそうになっても。エドワードがきっと喜ぶのは「この男」だろうとカワウソのロイは思って、死にものぐるいで「それ」を捕獲したのだ。いらないものを贈りつけても金色キレイなあの子は喜ばないだろう。プレゼントは相手の喜ぶモノを贈ってこそである。その一心で。……まあ、所詮野生動物の考えだ。その小さな小さな脳味噌では「その人物」を連れてきた後の展開など、そこまで思いはつかなかったのかもしれない。ただ単に「あの子の喜ぶ顔が見たい!喜んでもらったら求愛行動開始だっ!」……と。……不憫な男、いやカワウソである。
「まあ、三日此処にいるから食糧とかは嬉しいけどな。……実際今オレ腹減ってるし…」
エドワードのその言葉にカワウソのロイはキラン!!と漆黒の瞳を輝かせた。
(よしっ!!思ったとおり貢物作戦は成功のようだ!!)
ぐっと勝利の拳をカワウソのロイは掲げた。
「だけど、その……奇妙なコスプレはなんだよっ。アンタ頭どうにかしたんか?」
奇妙なコスプレ。コスプレと言う単語はカワウソのロイの小さな脳味噌の中にはなかったけれど。だが、この手入れが整っている自分の美しい毛皮を指しているということは理解できた。そして奇妙と言う単語も。ガーん、というショック音だけがカワウソのロイの頭に響き渡る。メスのカワウソたちにかっこいいと褒められるほどの美しい毛並み。自慢の毛皮。人間界で言うところであればブランド物の服、もしくはオーダーメイドの最高級品と言うほど自慢の毛皮なのに……。ガーンガーンガーン……と脳内で響く衝撃音。その中でなんとかぼそぼそと弱々しい声を絞り出す。
「こ、これは……これは…私の一番美しい服というか……」
毛皮、だという単語はエドワードの深い深い溜息でかき消されてしまった。
「そんなに……馬鹿になるほど書類のサインがきついんか?テロ対策とか大変なんか?……オッサンオッサン。何とち狂ってんの?大佐の頭オカシクなったから、少しは休ませてやってってオレから中尉に頼んでやろうか?」
馬鹿。
オッサン。
とち狂う。
その上オカシイ。
呆れを通り越して、可哀そうなものを見るようなエドワードの目つき。
ショックは最大限に達した。衝撃のあまりカワウソロイの顔は蒼白だ。

シーンと静まり返った二人の間に、しんしんと雪が降り積もる。そして……。

ガタガタガタとの震動と共に大きなつづらから命令口調の声が響いた。
「いい加減にこれを開けたまえっ!!」
聞き間違えようのない、甘いテノールの声。エドワードは大きなつづらを凝視した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


はい、三番手、ノリヲでした。
つづらの中身……勝手にこの人にしてしまいましたけど…いいかな?いいよね?最初はハボかと思ったんですけど…こっちにしてしまった…あはははは。さあ三人(二人+一匹)だ!!次の方よろしく!!(あ、私信、樹様。リレーは強制じゃないので書きたい時に挙手でいいと思いますよ~。私もちなみにギャグは苦手です。コメディならなんとかー、ですけど。楽しんで書けば作者の楽しみが読者様に通じるのではーと思ってますはい。←無責任。シリアス展開とかラブラブ展開とか自分の得意分野に持ち込んで、始めギャグなのに終わりはどシリアスでもおっけーかと思います。ズレそうだったらきっとどなたかが修正かけてくれるだろうと思ってる私(えへ)←他力本願ですあはは。ごめん。)


昨日の時点で書き上がっていたのですが…アップの仕方に手間取りました…PC関係弱くてごめん。ちゃんと見られるようになってんのかな。まあとりあえずやってみよーっと。

『一つだけ、願いを叶えてあげよう』

深々と雪が降り注ぐ空から声がきこえた。

【彼】は大地同様真っ白な空を見上げる。けれど、もう声は聞こえない。
聞こえないけれど。

確かに、私は聞いた―――間違いなく。

なら、願いは叶えてもらうぞ。




その願いが敵う少し前。【彼】は死にそうだった。

あぁ、白い寝床が私を呼んでいる…。

冬眠前の食事が足りなかったのか、冬真っ只中のこの季節に目が覚めてしまった。
ぐぅ~というお腹の音と共に。
一旦空腹を感じると、もうどうしようもない。

仕方がなく、雪景色の中ない餌を捜し求めるという事に。。
でも、初めて見る真っ白な世界はとても、

『きれいだ…』

いつもとはまるで違う光景を、【彼】は、いつまでもいつまでも見つめていた。
そう、感動の余りずっとずっとず~と眺めていたのだ。

そうして、すっかり雪に埋もれ身動きが取れなくなっていた。

『わ、私としたことが…一生の不覚…っ』

なんて自覚しても時、既に遅く【彼】は凍死寸前。

『あぁ、春なったらデートをしてあの子とこの子とその子と…etc子孫を残して人生を謳歌しようと思っていたのに…』

楽しい人生設計も計画倒れ。
しかも、なんだか先ほどから温かくなってきたような。そんな感覚が【彼】を襲うのだ。

これは、昔長老に聞いた雪山での危ない状況といいやつか?
確か一眠りしたらあの世だったとか、なんとか。

【彼】は、すっかり夢の世界への片道きっぷを持ってしまっていた。もう数秒で魂は空の上。
というところで、ふわりと体が浮いた。

「おいっしっかりしろよ!なんでこんな所にいるんだよっ冬眠中だろっ!?」

しっかりしろおぉぉぉ!!とゆっさゆっさと脳がシェイクされるかと思うほど揺さぶられた。

『これはこれで……違う意味で魂が抜けそうだ』
クラクラと眩暈を起こしながら、【彼】は何とか視線を定める。

途端、視界に広がる金色の輝き。

『きれい…だ』

本日2度目の感動。しかも大が一杯たくさん付くほどの。

一目会ったその時から恋の花咲く事もある見知らぬあなたと見知らぬ私で雪山でデートvv…なんてどこかのフレーズが揺れまくった脳内で響いている。

でもそれはあくまで、【彼】の脳内だけ。
金色の輝き、エドワードといえば、ぱちくりと目を開けた小動物に一安心で。

「おっもう大丈夫だな。それにしてもこんな雪山で死にかけてるなんて、寝惚けていたのか?変なイタチ」

―――変なイタチ。
大きな勘違いをしていた。いわゆる天然ボケ。

『君っ失敬な!私はカワウソだっ!』

そんな天然ちゃんに【彼】は大反論するも、

「おっ、元気いいじゃん!」

ただの鳴き声にしか聞こえていないので、空回りだ。

「お前、目が真っ黒であいつみたいだな。あいつも良く仕事中に寝惚けて中尉に銃弾打ち込まれるんだよな」
『……あいつ?』
「いいか、ちゃんと巣穴に戻って春まで寝るんだぞ」

エドワードはイタチ(だと思っている)を雪原に降ろすと「じゃあな」と手を振って歩き出す。
実は、エドワードもこの雪山にけっこう切羽詰っていたりしているのだ。

『ま、待ちたまえっ!』

ザクザク歩くエドワードを【彼】は必死に追いかけるが。
「だめだろ!めっ!」と叱られる始末。

その時、ふっと【彼】はエドワードの心を垣間見てしまった。
なぜ自分にそんなものが見えたのかは分からない。

動物の勘なのか? 分からないけど、でも見てしまったのだ。

漆黒の髪、黒曜石の瞳をした男の顔を。

そして、エドワードが心の底で大切に閉まっている想いも。




雪原で、ポツリと一匹佇んでしまう。

『私だって、黒い瞳ではないか……』

もしかしなくても、これが【恋心】というものなのか?
でも自分はカワウソであの子は人間で。

でも。でもでもでもっっ!!

そんな時、あの声が聞こえたのだ。

だから、【彼】は叫んだ。

『私を人間に!あのロイ・マスタングとかいう男とそっくりの人間にしてくれっ!!』






トントン、とドアを叩く音。

「え~と…どなた?」
「私だ」

えっっ!?

聞き間違えようのない、甘いテノールの声が外からする。

「うっ嘘だろっ!!な、なんで大佐がここに!?」
「嘘なものか、早くここを開けてくれ」

ガチャリ。ドアを開けると。

「これを君に…」

差し出された籠、足元の食料、背後の怪しげな大籠その他色々。
でも、そんな事はこの際どうでもいい。

問題はそこではなくて。

「………………………………あんた、何……してるんだ…?」

イタチ(本当はカワウソ)の着ぐるみを着たロイ・マスタングがそこにいたのだった。





強烈ギャグな展開でなくて、すすすすすすみません!つぐみ様の第1話を読んで、どおぉ~してもカワウソロイが人間になるところを書きたくなってしまって(汗)
でもカワウソロイ(人型)をエドたんは見るところまで書かないと!と思って書いたらこんな感じになってしまいました。
次の方っ!宜しくお願いしますっっ!

まいこ

 

 

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ILLUSTRATION BY nyao