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降り積もるばかりの一面の銀世界の中は、音までも凍らせたように静かだった。
確かにそこは凍てついた世界だったけれど、そんな中カワウソロイは幸せなぬくもりを感じていた。
自分の毛皮に身を包んでいるのは紛れもなく、自分が恋焦がれた綺麗なあの子だ。
抱きしめられた彼からその身に着けた毛皮越しに・・・彼の暖かな体温を感じる。
ああ、これ以上の幸せがあるだろうか。
きっと思いは通じた筈。
彼の抱擁がその証拠だ。
カワウソロイは複雑な表情を自分達に向けている男のことなど、気にもならないほどその幸せの余韻に浸っていた。
だがらいつもなら働く野性の勘が鈍ってしまっていたのかもしれない。
ズキューン!!!
それは雪山に反響して、カワウソロイの顔の横を何かがかすめた。
「エドワードくん・・・・・その変態から離れて!」
その場に凛とした声が響き渡った。
カワウソロイも、エドワードも、そしてロイも声を振り返れば。
そこには銃を構えたホークアイ中尉とハボック少尉の姿があった。
「ええ、もう変態だ、変態だ、変態だっ、変態だっっと常々思っておりました。ですが、ここまで変態とはっ!!!!」
珍しく激しい口調で、ホークアイは言い捨てた。
その剣幕に隣のハボックの顔色は青くなるばかりで、事の次第を見守っている。
どうやら彼女には全裸のカワウソロイが、毛皮を着たエドワードに抱きついている・・・・ように見えているらしい。
「ちっ、中尉・・・・あの、これは、その」
説明しようにも、エドワードは今までのこの状態をどう伝えていいのかわからず、言葉が続かない。
「くまに攫われていかれたあげくっ、身包み剥がれたなどという言い訳は聞きませんっ。今日という今日は、覚悟して頂き・・」
「くまではないっっ、カワウソだっ!」
ホークアイの言葉を遮るように、カワウソロイは毅然と全裸でそう告げた。
そしてホークアイはそこまできて、やっともう一人の男の存在に気づいた。
何時もの青い制服に身を包んだ男は、二人とは少し離れたところに確かにいた。
「大佐・・・・そちらでしたか。気づきませんでした」と平然と言われれば。
「待ちたまえっ!君ね、普通気づくだろう?」
「いえ、普段の行いの悪さがこういう時に誤解を生むのです。自覚なさってください」
「いや、それにしてもだね。君、さっきの変態の言われようは酷くないかね?一体何回変態を連呼したと?」
「五回です・・・それに何か問題でも?」
いい足りないくらいだと言わんばかりのホークアイの口調に、思わずロイは押し黙った。
それだけ言い渡すと、ホークアイはエドワードとカワウソロイに視線を戻した。
「どういうことなの?エドワードくん」
全裸の男の顔は、どこから見てもロイ・マスタングそのものだ。
否、ヒゲ。
人間にある筈のないそれを見つけて、さすがのホークアイもひくりと口元を引き攣らせた。
「とにかく、少し下ったところにテントを建ててます。まずはそこに移動して頂いて、お話を伺います」
そう言いながら山を降りることを促した。
寒さに限界を感じていた三人?は、素直にホークアイの指示に従い山道を降りる事を承諾した。
下山の雪道を、無言で歩くホークアイに、思わず小声でハボックは声をかける。
視線は前をゆく三人?に向けたままだ。
「中尉・・・・本当にあれって何なんですかね?本人はカワウソだって言ってましたけど」
「どうかしら・・・・・」
「でもあれだけ大佐に似てると怖いですね」
「そうね・・・・・・、あれだけ似てるとうっかり間違えて入れ替わってしまってもわからないわね?」
「え゛、や、それは・・・・」ないだろう、と思いつつもこの女性などに意義を唱える勇気がある筈もない。
「それともハボック中尉、くまに捕獲される無能な国軍大佐が軍にいるとでも?」
だからカワウソですよ、とそんな事を突っ込めるはずもなく。
この人なら本気でやりかねないと思えば、ハボックはごくり息を飲み込んだ。
眼前には山の中腹に張っているテントが見えてきたが、どうにも波乱を感じてしまうのは何故だろう。
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と、いう訳で取り合えずテントに移動です~。
またしても妙な引き具合で申し訳ありませんが、お次の方よろしくお願いします。
いよいよ、ラストに向けていこうと思ってますが、どうぞ皆様・・・・「ちょっと待った」や「設定の回収もれ」などどんどん突っ込んでくださいませ~♪
すみません、名乗り忘れてました。
つぐみです。
そこは幻想的な白銀の世界が広がっていて。
空からは白い妖精が舞い降り、二人は白い恋人たちとなる。
バカンスで来ていたら、ね……な話。
でも現実は厳しくエドワードの置かれている状況は今、極が10個は付くほど最悪だった。
三日三晩、ろくな食べ物もなく空腹は限界を超え、すでに麻痺している。
それでも寒さを防ぎ暖をとり凍死しなかったのは、ひとえにどこかのお金持ちな別荘があったから。
その命綱とも云うべき、お金持ちな別荘が。
―――今しがた吹っ飛び燃え尽き跡形もない。
あぁ、名残の灰が雪に混じって飛んでいく……。
どんなに情けない姿を見てしまっても冷めることがなかった、エドワードの恋心。
大人でかっこよくて甘いテノールの声が素敵な時々無能の国軍大佐ロイ・マスタングに、実は心ひそかに恋焦がれていた。
でも素直になれなくて、ついつい素っ気無い態度をとってしまっていたのだ。
本当に大好きで大好きで大好きで、今もその気持ちには何故か変化はないけれど。
ないけれど。
ないけど今。
猛烈に自分が悲しい。
大佐が、憧れのロイ・マスタングが。
まさか。
………………こんなにバカだったなんて。
冬の寒さとロイのバカさ加減が身にしみる。ここまでくれば怒りを通り越して虚しい。
心が体と同じようにとっても寒いのだ。しかも機械鎧は氷のようで。
寒くて悲しくて虚しくての3拍子が揃ってしまっているというのに、ちらほらと降っていた雪が吹雪いてきて追い討ちをかけてくれたりする。
エドワードは怒鳴ることもロイを睨む事もできず、目の前に散る白と灰色の雪を見つめていた。
ぽろり…。
あまりの情景と状況の虚しさに、悲しみが込み上げ泣けてきた。
一粒流れると、あとはもうぽろぽろと涙が止まらない。
「うっ、ううっふえ…っ」
左手でごしごしと金色の瞳をこすりながら、エドワードはとうとう声を出して泣き出してしまった。
これに慌てたのはロイとカワウソロイの一人と一匹だ。
「エ、エドワード…その、泣かないで…くれたまえ」
原因が自分にあるとはっきりしている為、ロイはシドロモドロオロオロしながらのうえ、そっとエドワードに触れようとしたが。
「さわんなっ!大佐なんか大っ嫌いだっっ!!ばかーっっ!」
「お、落ち着きなさいっエドワード…っ」
癇癪を起こしながら泣きじゃくるエドワードに触れるどころか、近寄る事すらできない。
もうすっかりお手上げ。
そんな時。
「う、うっ…くしゅんっ」
「「エドワードッ!?」」
エドワードのくしゃみに一人と一匹は驚いた。
まさか風邪を引いたのか!?
冬の寒空の下にいるのだ、風邪を引かない方がおかしい。
ちなみにロイはすでに風邪引きさんだ。でも今、はっきりいってロイはどうでも良い。
問題はエドワードがくしゃみをしたと云うことなのだ。
しかも「へっくしょん!ふぇっくしょんっ!」」と連呼している。
このままではいけないっ!風邪を拗らせてしまったら大変ではないか!
と、一人と一匹は思った。
でもその一人、ロイは成す術がない。
抱きしめて暖めようとも、すでに自分は風邪引きさん。風邪の移し合いにしかならくて不毛だ。
そして、もう一匹、カワウソロイには術があった。
「これを着たまえ」
「えっ…?」
極寒に只中にいるはずだったのに、ふわりとした温もりがエドワードを包む。
「こ、これって…」
特一級品質の毛皮(着ぐるみ)に頭からすっぽりと包まれ、エドワードの体中はほこほこ。
でも、という事は?
「っ…ぶふぇっくしよいっ!」
カワウソロイは盛大なくしゃみと共に、ズルルーと大量の鼻水を垂らしていた。
「お、おい、お前大丈夫か!」
「ぎみばじんぱいじなぐていい…だびじょうぶだ…っくしよいっ!」
ちっとも大丈夫じゃない。
そもそも妖怪変化といえど野生動物。本来この時期、彼らは寒さを避けるため冬眠中なのだ。
しかも、体温を保つ為の必需品「天然毛皮」がない。
なのに。
カワウソロイは今、すっぽんぽん。
ブルブルッと擬音が聞こえそうな程震えが酷い。
このままでは、あと数分で間違いなく凍死確実だ。
カワウソロイの意識がぼ~と遠のく。
これが、もしかしなくても長老が言っていた雪山遭難というやつなのか?
あぁ、我が人生に悔いはなし。金色のこの子が無事ならそれで良い。
でも、一度で良いから触れたかったな……。
そういえば贈り物も受け取って貰えなかったし。
悔いがないと言いながら、結構未練が残っていたりする。
そんな事を思っているうちに、いよいよ体がぐらりと傾く。
が。
今度はカワウソロイが、ふわりとした温もりに包まれた。その感触は紛れもなく自慢の特一級品質な天然毛皮で。
「こ、これは……?」
「ほら、こうすればお互い温いだろ?」
閉じかけた目を開けてみると、そこには笑顔で自分を見上げる金色の瞳があった。
な、なんて眩い笑顔なのだ!ここれはもしかしなくても抱擁ではないか!?しかも金色のあの子からっっ!
おぉっしかも私が送ったプレゼントを身に着けてくれている!
私の求愛を承諾してくれたのだーっっ!!
ぎゅーと抱きつき返す。
カワウソロイ、天にも昇る気持ちで今絶好調に幸せを感じていた。
一方、国軍大佐ロイ・マスタングは。
呆然と目の前の愛おしい子供と、自分モドキ(しかも全裸状態)の熱い?抱擁を眺めていたのだった。
え~と、時間が掛かった割りに短い(汗)しかも、こんな展開に!? どなたか続き頑張ってくださいませ~。
まいこ
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・ちょっと、何だねコレは。」(頭痛。)
「何って、見ての通り、『焔』だ!」(堂々。)
「・・・馬鹿にするのも大概にしたまえ、それは『焔』というより『火の玉』で・・・」
「うおおーっ!! すっっげぇーじゃんっ!!」
「・・・・は?」
「やぁーっぱ、ホンモノは違ぇーよなぁー!」
「わかってくれたか!」
「ちょっと待て!どこにこんな東の国の怪談めいた火の玉を出す『ホンモノの焔の錬金術師』がいる!」
「ここにいるじゃんよ、ホレ、焔。」(火の玉ふわふわ~)
「そうだ!立派な焔だ!」(便乗たたみかけ。)
「違・う・だ・ろ・う!!地獄の業火にも劣らない私の紅の焔練成はこんなものではないだろう!?」(必死。)
「え?こんなもんじゃね?」(どっから見ても青い火の玉、ひらひら~♪)
「そうだ!こんなもんだ!」(←文脈の意味をよくわかってない。)
「だぁーーーーっっ!一から十まで間違っとるぞキミらは!だいたいな・・・」
「うっせ!焔も出せねー無能は黙っとけ!」
「(がーーーーーーーーんっっ!!!)」(白。)
「なー♪ やっぱ、ホンモノは焔出せてナンボのもんだし?」
「ああ♪そのとおりだとも!」
「ぶ、侮辱だ・・・大地を焼き尽くすと恐れられた私の練成が・・・こんなもんと・・・」(涙に撃沈。)
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今、唐突に浮かんだシーンを、とネームを切る(漫画のコマ割り・台詞入れ・プロットのこと)要領でパパっと書いてみました。
挙手するほどの内容でもなかったんで・・・直に投稿しちゃいました。
「第6話」の三人(いや、二人と一匹)のゴタゴタのシーンの隙間に、こんなやりとりがあっても(なくても)いいかな~的な、挿絵風味なイメージで描きました、じゃなかった、書きました。
さと。