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ああ、君はカワウソなのだろう?そうしてエドワードを幸せにするためにこの私の姿を模した。
……ありがとう。君の努力のおかげで今我々は晴れて恋人同士となることができた。
言葉とともにカワウソロイ´を振り返ったロイの顔は、言い表せない妙な圧迫感を感じさせた。
先程まで確かにやんわりと優しい笑顔に見えた男の顔が、今は妙な迫力があって「怖い」と感じる。
それはカワウソロイ´が本能のような部分で感じた、つまり理屈ではなく・・・・まさに動物的勘という奴だ。
その言葉に反論など出来る筈もなく、ただただカワウソロイ´はロイと・・・・その腕に囲われたエドワード
を呆然と見つめた。
純粋に、ただ愛おしいエドワードと恋人になれたと思っていたカワウソロイ´は、およそ人間とは思えぬ程
の激しいロイの威嚇に戸惑うことしか出来ない。
「言いたい事はそれだけでしょうか・・・・」
その時、青ざめたカワウソの横でホークアイが銃をガチャリと鳴らした。
その音たるや心なしか、普段の音よりも大きくその場に響いて。
まるで彼女の存在を無視し、好き勝手な言葉を吐いていたことに対しての怒りの表れのようだ。
「ちゅ、中尉」
ロイの声が上擦るのは仕方がない。
それまで黙って男の詭弁を表情一つ変えずに聞いていたホークアイだったが。
表情は動かないままに、とうとうその口火を切った。
「エドワード君、騙されてはダメよ?そっちがくまだから」
この後に及んでまだ「くま」だと言いはる彼女にハボックはわかり易く肩を落とした。
「あの?中尉・・・ですからカワウソです」
だが彼女にはハボックのツッコミなどまるで聞こえていない。
いや、きっと聞こえているのにわざと「くま」で押し通すつもりなのだ。
「え゛」
それまで黙って流れに身を任せていたエドワードは、はっとなって男から離れて、思わずロイとロイ´を見比べる。
だが、確かにロイ´にはひげがあり、どう見ても今しがたまで自分の肩を抱いていた男のほうが本物に見える。
どこからどう見ても、ひげがあるほうがカワウソロイ´じゃないのか、と思ったが恐ろしくて口には出せない。
「中尉!何を言い出すんだね?先程そいつは自分のことをカワウソだと認めたじゃないかね」
あまりの馬鹿馬鹿しい指摘にロイは口調を荒げて反論する。
「彼やエドワード君は騙せても、私はそうはいきませんよ」
真顔でピシャリと言い切ってくる。
「ひげはどう説明するんだね!?」
「剃れば問題ありませんっ」
「そういう問題かね・・」
「そういう問題です」
「君っ!動物如きに軍の大佐の職務が出来ると本気で思っているのかね」
「すくなくとも、くまに拉致される国軍大佐など軍には不要ですから」
そう言い切られてロイは言葉に詰まった。
「ええ、どうせ机に座ってサインして頂くだけの単純作業ですから。むしろ淡々とこなしてくれそうですですわ ね。そんな単純作業ですら溜めてしまう無能より、よっぽと使いものになりそうです」
スッパリと言い切られて、ロイは反論の気力を失った。
既にかわされる会話の中で、カワウソロイ´のほうが「本物の大佐」でないことを前提済みだ。
そう、もはや本物がどちらかなど彼女には問題ではないのだ。
だが恐ろしいのは本物かバレバレの状態だというのに、彼女が言い切ると何故か本当にそのような気がしてくる。
くま・・・否、カワウソにまんまと拉致られた男の無能さを、まだ根に持たれているらしい。
顔色にはまったく出ていないのがまた恐ろしい。
「エドワード君はどうなのかしら?」
「え・・」
急に話をふられて、エドワードは言葉が出ない。
「あなたは・・・・・どちらが本物だと思うの?」
どっちが?
「どっちがって・・・・」
会話の中にも既に結論は出ているのに・・・・などとは、さすがのエドワードも怖くて口に出せない。
しかし何故ホークアイは今一度それを確認するのか。
”好きだよ、鋼の。……君も、だね?”
その言葉を聞いていなければ、中尉のように意地悪くカワウソがロイだと言ってやれたかもしれない。
でもロイのその言葉を聞いてしまったから・・・。
ずっと心の奥底にしまっておいた大事な思いを、思わぬところでカワウソに暴露され。
最初に否定していたのは・・・・・自分のこんな思いがロイに受け入れられる筈がないと思っていたからだ。
だが、ロイもまた自分を好きだと言ってくれた。
本当は嬉しかった。
どれほど嬉しかったことか。
伸ばされたその腕に全てを任せてしまいたかった。
でも。
振り返ると、切なげに自分を見つめるカワウソロイ´。
”だから、君への贈り物だよ。その男も私のこの姿も、全部君への恩返しに、―――君の為にあるんだよ”
わざわざ助けてやった恩返しに来てくれたカワウソロイ´。
その思いも嬉しかった・・・・。
同じ顔で、同じ声で、一生懸命自分を思ってくれたカワウソロイ´。
自分を思ってくれたその気持に本物も偽者もない。
そんな思い知って尚、どちらが本物でどちらが偽者だと・・・思いの真価を問うような真似をして隔てたくない。
それは自分が思っているのが大佐であるということとはまた別だ。
「俺は・・・・」
エドワードが口を開きかけたその時。
「ハボック少尉殿!」
ふと見れば一緒にロイ・マスタング捜索隊に参加していた憲兵が二人駆け寄って来た。
「ああ、大佐なら見つけた。先に帰って報告を」
と言い掛けて、ハボックは憲兵が抱えている妙なものに視線を奪われた。
「なんだ、それゃ?」
一人の憲兵は籠のようなものを両手に抱えて、もう一人の憲兵は・・・・西洋風のランプのようなものを手にしていた。
「あ、はい・・」と言い掛けて。
憲兵二人の視線が、はたっとロイとカワウソロイ´の方向で止まった。
「あーっ・・・・あれな、気にすんなっ。一人は大佐なんだが、もう一人はそのぉ、そっくりさんの、河合 総(かわいそう)さんだ」
ファルマンに習ったわかりにくい異国の綴りになぞらえて、わざとそう言えば。
憲兵はそれぞれに、ますます表情を険しくした。
「ハボック少尉、違うわ。私は 無能 大(むのうたい)さん と聞いたわよ」
ホークアイがこちらもやはり、異国の難しい綴りをなぞらえた言葉でそう口を挟む。
それなのに不思議と、皮肉を含めたその意味はちゃんと伝わってくるから不思議なものだ。
「「え・・・」」
あまりの返答に、憲兵二人は戸惑い・・・・困惑した視線もそのままにロイとカワウソロイ´を見比べている。
そのうち憲兵二人の視線がひげがあるカワウソロイ´のほうに止まれば、カワウソロイの表情は険しくなり。
「私がカワウソで、本物の大佐は私だ!」
と、いう理屈の分解した言葉を、声高らかに宣言した。
が、その時。
ヒユッと風が悪戯に吹いて、カワウソロイ´のコートが捲くりあがった。
コートの下は勿論の何も着ていないあられもない姿。
「ひ・・!!」
憲兵の一人は言葉にならない悲鳴をあげ、もう一人は声もあげられずに固まったまま動けないでいる。
こんな状況ではフォローのしようもないし、何よりもその姿を晒しているカワウソロイ´自身はまったくもって動じて
いない。動物に服を着る習慣がないのだから、当然の反応なのだが・・・・・顔がロイそっくりという所にやはり問
題がある。
「ああっ、と。その、ええっ・・それで?」と、さり気なく声をかける。
上官命令万歳、軍隊では絶対の権限だ。
暗黙で黙秘を要求するという器用な真似をしながら、上擦った声の憲兵の報告の先を促した。
憲兵は慌てて「はっははははは、はい」と動揺した返答をしながらも報告を続ける。
それでも憲兵の視線だけがちらちらとロイとロイ´に向けられるが、ハボックはわざと知らないふりを決め込んだ。
「先程、この上の丘を捜索しておりましたら、建物が燃えたような後がありまして・・・そこに」
「燃えた後?それは確かなの?」
燃えたという言葉を聞き逃さずに、ホークアイはすかさず問いかける。
「あ、はい。本部に確認を取りましたら、将軍閣下の別荘がこの辺りにあった事が判明しまして。何かしらの事件に巻き込まれたのではないかと」
憲兵の「何しかしらの事件」という言葉に、スーッとロイの顔色が悪くなった。
こんな山の中にあんな立派な建物がそうそういくつもあるとは思えなかった。
だとすればロイが燃やしたあれこそが将軍閣下の別荘ということになる。
将軍閣下の持ち物ともなれば、軍は正式に調査をするだろう。
「あら?お顔の色が悪いですわね?どうされました?」
「いや、その」
まさかカワウソロイ´と本物・偽者の議論になって、勢いで燃やしてしまったなど言える訳がない。
「それはテロによる報復処置などだったら大変ですね」
「テロでありますか!?」
憲兵の一人が大仰に声をあげると、ロイの顔色は更に悪くなってゆく。
「いや、その。中尉、こんな山奥にテロなど・・・・」
「いいえ、爆弾を使ったテロは彼らの専門分野です。これは念入りな調査が必要ですね」
「イや・・・・君、待ちたまえ」
「それとも、別荘が燃えた理由・・・・・よもやご存知ということはありませんね?」
そう聞かれてロイは思わずそのまま押し黙った。
すぐ後に「やっぱりくま以下だわ」ぼそりと恐ろしいセリフを小声で囁かれたが、聞こえないふりをした。
「あ・・・それで、そのこんなものが散乱しておりまして・・・何か原因がわかるのではと回収をして来ました」
と、籠を手にした憲兵は自分が抱えているものに視線を向けた。
「他にも何かあったようなのですが、無事な状態で回収出来たのはこれだけでして」
と、ランプ持ったもう一人の憲兵が付け加えた。
「あっ、それ」
見覚えのある籠とランプにエドワードが声をあげた。
「ああ、それだけは無事だったんだな・・・・・よかった。大切な君への贈り物だからね」
と、カワウソロイ´は憲兵の一人に近づくと、その手からランプを取った。
憲兵の顔がひくりと引きつったのを見かねて、ハボックは慌ててもう一人憲兵から籠を受け取ると。
「ご苦労だったな、テントに帰ってくれよ」
労いの言葉をかけるのを忘れずに、さり気なく憲兵二人をこの場から遠ざけた。
「うわっ、なんじゃこれ・・・・・水?垂れてたのかな、つららみたいに凍ってるし」
受け取った籠には、中から垂れていたであろう水がツララとなって下っている。
ハボックは冷たいだなんだと文句を言いながらも、その籠の蓋を開けた。
と、開いたまま中を覗き込んだハボックは、そのまま固まってしまた。
「なんだハボック、どうした?何が入っている?」
ロイが少しイラついた口調でそう聞いたが、ハボックはそれでも暫く何も答えなかった。
「ハボック少尉、何が?」
今度はホークアイが声をかけた。
すると、ハボックは神妙な面持ちで。
「中尉・・・・俺、推測でものを言うのはちょっとアレなんですがね。これが、カワウソって奴じゃないんでしょうか」
そう言って籠の中を皆が見れるように、低くして角度を下げた。
そこには確かに一匹のカワウソが、すやすやと丸くなって眠っていた。
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散々時間かかって「前編」って何っ!?
すっ、すみませっ。
長くなってしまいました。自分が長編体質だと思い知らされる瞬間(涙)
「後編」も殆ど出来上がっているのですが、まだ微調整してます。
もう少しお待ちください。
つぐみ拝
遅くなってしまって、しかも長くなってしまってすみませっ。ええええっ、いえいえいえ・・・そんなにのびませんよ~(多分)
そんなに予想外な展開だったでしょうか(苦笑)
もう私的には全部を設定回収するにはこれしかないっと(爆)
笑って頂けて何よりです、危うくシリアスに走りそうだったところを、ギャグに軌道修正した甲斐がありますっ(え゛)
はい、暖かい目で見守ってやってくださいね。
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まいこさん
遅くなってしまってすみませっ。
はい、籠に入っているのはカワウソですよ。皆様どうしても籠の行方を気にしていたらしたので。あ、でもあのカワウソ生きてます(自分も寝てるって書いたでしょっっ)
しかもアレです(←どれですっ!?)このカワウソさん登場はまいこさんの設定から頂きました♪(バレバレですか・・・?汗)
はい、出来るだ早くあげられるように頑張りますね。
つぐみさんの、最凶中尉っ!!!(『最強』ではなくて、『最凶』。)
お待ち申し上げておりましたぁっ!
やっぱりこのまま黙って大佐の好き勝手を見逃すはずないと思ってたんですよね~♪
さ・す・が!期待を裏切らない中尉の恐ろしさ!
そして、予想を裏切る問答無用さ!
(あくまでも『くま』…くま以下…無能よりマシ…無能 大さん…/爆笑。)
ブラボー中尉!!! 一生ついていきます~!!(←「ミニスカ宣言」の大佐にすがるハボ風に。)
何気にハボが一生懸命立ち回ってますね~がんばれー。
何だか、ますますカワウソが愛しい感じがします。
「’」はついても、その純真な愛はホンモノですから。
(エド、小動物にほだされそうな勢いですね。/今は小さくないけど。/笑。)
わっ♪謎の品々が戻ってきたっvvv
なるほど! つづらの中身、そうきましたか~!(感心。)←実は、あんまし中身を確定してなかったらしい。
次の章がワクワク♪ですね!