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気がつけば、広告が表示されているではありませんか(汗
更新は滞っていますが、萌えが湧く限りロイ×エドは不滅です(笑)
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エドワードは無言だった。身体はびくりと震えた。あの雨の日のことをもう一度、とロイから告げられて心が掴まれたように震えてしまう。
何を言うつもりなのか。あの雨の夜、言われるはずだった言葉をここではっきりと告げられるのかもしれない。ロイの腕の中で、エドワードはぎゅっと緋色のドレスを握りしめる。
あの夜、サヨナラを告げられることはわかっていた。言葉に出して言われてはいないけれど、だけどわかったいた。雨の中立ち尽くした自分。ロイが早く来てそして冷たい身体を温めてくれるのを本当は期待していた。だけど、ロイは来なかった。自分もそのまま立ち尽くしていた。冷たい雨は衣服を濡らし、そして重く肌に張り付いた。けれど、立ち止まったままではいられない。
雨の中立ち尽くしていたところで未来は開けない。
立って歩いてこの手に掴む。未来を自分の望みを。どうしたいのか、それは自分で決めること。
動け、自分の足で。掴め、自らの手で。
ぎゅっと握りしめていた手をほどいて、エドワードはロイを見た。
漆黒の瞳に浮かぶのは真剣な表情。何かを、決めたその強さがそこにあった。
「……下ろしてくれねえか、大佐」
腕の中に抱えられて、そしてそこでロイの言葉を待つなんて。それは違うとエドワードは思った。
未来をと望むなら、うずくまって助けを待つのではなく。
いつだって自らの手と足で掴みとれ。立って歩いて、前へ進む。何かを期待して待つことなどしない。弱い心などもういらない。
「アンタも、オレに話あるんだろうけど、オレだってある。あの雨の日をもう一度なんて冗談じゃねえ」
睨むような強さでロイを見つめ、そしてエドワードは自分の足で立った。
くいと、顔を上げる。俯きなどぜずにしっかりと。
「エド?」
もう待たない。自分の足で歩き出す。
「オレは、わかってたんだ。あの日、アンタに何を言われるかなんて。それが痛くて怖くてただ待った。でもアンタは来なかった。それを繰り返す気なんかねえって言ってる。だから、オレからアンタに言う。……オレ達、もう別れよう。オレはアンタの恋人でいることを、今、ここでもうやめる」
きっぱりと言い放つ。震えなど抑えつけて。
別れる。それがエドワードの結論だった。

別れようオレ達。
告げられた言葉がロイの心に突き刺さる。
こんな言葉を私はエドワードに告げようとしていたのだ。
後悔などしても遅かった。この事態は自分の弱さが招いたこと。ロイはエドワードから視線も外せずにただ、痛みとともにエドワードを見た。
冷たい雨にうたれながらただ自分を待っていたくれたエドワード。ドレスを着せられて人形のように眠らされていた。離れたほうがいいと思ったのだ。共に歩めばただ苦しめるだけだと思った。けれどそれは違ったのだ。
告げられて、わかる。
別れがどれほど痛みを伴うものか。魂をえぐり取られるに等しかった。
――そうやっていつまでも逃げているがいいわ、ロイ・マスタング。情けない男ね。この子を心の底から捨てることもできず、ただ、相手の幸せのために身を引いたなんて似非ロマンチシズムに浸るのがお似合いよ。『別れても愛しているのは君だけだ』なんて自分に酔ったセリフでも言うつもりだったんでしょ?笑わせないで。そんなのは捨てる方の勝手な言い分だわ。身勝手な理屈であなたの都合に振り廻されたほうがどれほど傷つくと思うの?それを受け止めることもできやしないクセに。
フィオレッナから突きつけられた容赦のない言葉が蘇る。彼女は手を伸ばした。手段はどうあれ欲しいものが欲しいと。そして彼女の目的に手が届かなくとも足掻いたのだ。フィオレッナは彼女の持てる力をすべて使った。甘い、と言われようが結果的に負けたとしても。そしてこの場は身を引いた。けれど彼女は奮起するだろう。欲しいものにいつか再び手を伸ばし、そして必ず手中に収める。その強さがあった。相手のために別れようなどというそんな弱さは彼女にはない。
これが、結果だ。自らの弱さが招いたことだ。
ロイはただ耐えるしかなかった。どんな結論をエドワードが選んだとしても、あのままコルネオ家のおもちゃなどにはさせやしない。そう決意して自身をオークションにかけるという暴挙に及んだ。けれど自分は道をまちがえたのだ。
共に、手に入れることを考えるべきだったのに。別れを、エドワードから告げられて、それがどんなに悲痛なものかようやくわかった。
「こんな情けない男は……君の方から見捨てられても仕方がないな……。だが、エドワード私は……」
許してくれるのならやり直したい。別れなど選択するのではなく共に在る未来を。そんな言葉を告げるのは実に調子の良いことだとわかっている。それでも、別れなど告げたくない。愛しているのだ。みっともないほどに、どうしようも無いほどに。
けれどエドワードは首を横に振る。
「もう止める。オレは立ち尽くすのも立ち止まるのも性に合わねえ。アンタとはいったん別れる。これはオレの決定。『だけど』も『だが』も要らねえよ。アンタから別れよなんて言われるようなオレはもう要らねえんだ」
「エドワード……私は」
「それからアンタの情けねえ顔も見たくない」
きっぱりと告げられた。迷いなど欠片も無い瞳で。
ロイは強く奥歯を噛みしめる。
別れる。
これがエドワードの出した結論なのだ。
これが、自分の心の弱さが招いた結末なのだ。
受け止めるしか、ないのだろうか。だが……。
「わかった…・・・だが、一つだけ覚えていてほしい。私は君が好きだ。愛している……。ずっと一生この想いは変わらない」
なんとみっともない言葉だろうかとロイは思った。
きっぱりと別れると告げてきたエドワード。あの雨の日にそう告げるつもりで呼び出して、けれど言えずにただ雨に打たれていた。その挙句にこんなセリフだ。愛しているというそんな言葉が今更エドワードの心に響くわけはない。けれど……。
悔恨が重かった。けれどただ、立ち尽くしてエドワードからの断罪を待つだけしかできなかった。そんな自分にロイは苦しさしか覚えることはできなかった。

奥歯を噛みしめて、それでも愛していると告げたきたロイを、エドワードはじっと見た。
これが、オレの結論だ。
オレ達は一度終わらせる。
俯くのも立ち止まるのも、もうしない。オレは前に進む。
エドワードは俯かなかった。真っ直ぐにロイを見上げ続けた。
「聞けよ大佐。オレはな、アンタが好きだ。すげえ好きでどうしようもなくなって。…・…アンタから別れ告げられるの怖かったよ。だからあの雨ん中ただ待った。でもそんなのオレじゃねえよな。アンタが好きになってくれたのはあんなオレじゃねえんだろ。だから情けないアンタも情けないオレももうここで終わりにしよう」
「わか……った……」
真っ直ぐに見続ける。強く強く、射抜くように。
「だけどオレはアンタが好きだ。今も、な。どうしようもねえくらい好きだよ。だから、オレは前に進む。ここで別れてそんで……。アンタがもう一回オレに惚れるくらいのすげえ男になる。そんでそれからアンタ口説き落としてみせっから。覚悟して待っていやがれ」
俯かない。
冷たい雨などはもういらない。
手を伸ばして掴んでみせる。太陽を、照りづづけられる強さを。

「エドワード……」
驚きに見開かれた漆黒の瞳。
足掻いてそして去ったフィオレッナ

エドワードは胸を張って、そしてロイへと笑って見せた。まるで太陽のような輝きがそこにはあった。







お久しぶりです続きです。ノリヲでした。 続きよろしくですよ~。
4/7 拍手から「黒猫ロイと金の子猫・町へ行こう」を通常ページに移動

   拍手お礼画面は準備中になります。
ロイと一緒にお散歩してからエドワードの様子がおかしい。

そもそも、帰ってきたかと思うといきなりコタツにもぐって出てこなかったり。しかも、側へ寄ろうとしたロイに、

「にょいはくんなっ!おれはひとりでおひるねするんだからなっ!!」

なんて、有り得ない言葉を言ってロイを凹ませた。その様子を一部始終見ていたアルフォンスは吃驚だ。

に、兄さんどうしちゃったの?! ロイ兄さんラブらぶvvな兄さんが「くんなっ!」て一体何事?!


エドに自覚はなくても、いつもエドはロイにべったりで。
ロイはロイで鼻の下が伸びきるのを必死に我慢しているのはアルにも一目瞭然。
そんな光景を毎日24時間まぢかで見ていたのだ。

なのに、お散歩から帰ってきてからエドはコタツから出てこないし、ロイはコタツ布団の上で涙に暮れているし。

有り得ない光景に、アルも呆然と眺めるしかない。


あんなに「しんねんになったら、にょいとおさんぽなんだぜ♪」って、喜んでいたのに。とうとう兄さんも<町へお散歩>、大人への一歩を踏む出すんだねって。まあ、保護者付きだけど。箱入りで心配だけど、ロイ兄さんが一緒だから大丈夫って思っていたのに…。

ここまで考えて、「まさか?!」アルフォンスはある考えに行き着いた。

まさかまさかまさか!!あの人(猫だけど)兄さんの前でも女の子達にデレデレしていたんじゃ!?


ロイは良く言えばフェミニスト、悪く言えば根っからのタラシだ。
そして、エドワードといえば箱入り仔猫。それも過重包装しまくりの筋金入りの箱入りで天然の世間知らず。
知っているのは、ロイとアルとご近所の大型犬ハボックぐらいで、既に一匹でお散歩をしているアルフォンスと比べて世間はあまりに狭い。


そんな兄さんの前で、出会うメス猫すべてにタラシ全開モードな態度をしたの?! タラシだ色男だスケコマシだなんて色々な噂もその現場を見たり聞いたりして知っていたけど、まさかっ、あんな初心な兄さんの前でなんて信じられないよっ!

エドワード溺愛、エドワード至上主義は何もロイだけではい。アルフォンスだってそうだ。しかも、自他共に認める究極のブラコン。

沸々と、無神経なロイに対して怒りが込み上げてくる。


てくてくと、コタツ布団の上で丸くなっているロイへと近づくと、思いっきり低い声をだして名前を呼んだ。

「―――ロイさん」


いつもの幼く可愛い声が、ドスを含んだ低い響きでロイに聞こえる。驚いて顔を上げると、これ以上ないほどの笑顔があった。

そう、アルフォンスは笑顔全開。そして、そんなアルフォンスにロイは肝が冷えそうだ。

さ、寒いぞアルフォンス?!

悪寒が走る中、ロイはある事に気が付く。
今、アルフォンスは<ロイさん>と言ったのだ。今日の今朝まで<ロイ兄さん>と呼んでいたのに。

そう、これはアルフォンスからの宣戦布告なのだ。


「兄さんを悲しませるなんて、僕はそんな無神経な人(猫だけど)認めませんからね!」
「……はい?」

ロイ、今いち思考が付いていかない。


さっきまで、アルフォンスにとってロイは親代わりであり兄だった。頼もしくて大好きな<ロイ兄さん>だから、兄さんを任せても良いかな、なんてちょっぴりだけど思っていたのに。

内心プンプン!でも表面上は笑顔のアルフォンスがロイに詰め寄るが、ロイには何故アルフォンスが怒っているのか分からない。


「僕、怒っているんですからね」
「えっと…何をだね?……アルフォンス」
「分からないなら良いです。教えてあげませんよ。ついでに、兄さんがどうしてコタツにもぐっているのかも教えてなんかあげません」

ロイのことを<兄さん>とは呼ばない。

だって。

今この時から、ロイはアルフォンスにとって恋のライバルになったのだから。





それからというもの、アルフォンスの反撃はもの凄い。

毎日毎日、ロイとエドワードの接触を絶妙のタイミングで邪魔に入る。あんなに3匹で寄り添ってお昼寝をしていたのに、それはもう遠い昔の記憶のようにさえ思えてしまう程だ。

エドワードといえば、あの日以来ロイとはろくに口をきいていない。

未だ拗ねているのも原因なのだが、一番の要因はアルフォンスだ。とにかく、エドワードと2匹だけになる機会なんてロイにはない。


「どういうつもりだね、アルフォンス。あんなに私に懐いていたのに」
「僕はもう赤ちゃんじゃないんです。それから、いい加減兄さんを諦めてくださいよ、往生際が悪いですよ、大人の癖に」
「それはできない相談だな、アルフォンス」

ばちばちっと両者の間に火花が散る。

ロイとて、エドワードと同じようにアルフォンスを可愛がってきたつもりだ。もちろん、恋愛感情は抜きで、だけど。

でも、これだけ敵対視されれば嫌でも気が付く。

弟して兄のエドワードを心配しているのではなく、ロイと同じ感情でもって接しているのだ。

そう、同じ感情。

つまり―――愛している。ということ。



私のエドワードに恋愛感情を持つとは、良い度胸ではないか。それも、浮気をしていると思い込んでの自覚とは、可愛いものだ。


「私は浮気などしていないよ。挨拶は基本だろ? アルフォンス」
「その挨拶の仕方に問題があるって思わないんですか?」
「男として、素敵なレディ達を袖になどできんな」
「………何も兄さんの前でデレデレしなくてもいいでしょ」
「おやおや、それは酷い誤解だね。それに可愛らしい文句だ」
「あなたは自覚がないのですね」

二匹とも譲らない。いくら話し合っても平行線ばかりで『どうしようもない』とはこの事だ。

でも、ロイの方に分が悪い。

初めてのお散歩で、初めてのメス猫達。もう少しロイに配慮があっても良かったはず。それはロイも認めている。
まさか、あんなにエドワードが落ち込むとは思いもよらなかったのだ。あげく拗ねられて口をまともにきいてはもらえない。

けれど、それはロイにとって嬉しい誤算だった。



―――落ち込んで拗ねてしまうほどに、ロイの事が好き―――



無自覚なまま、全身でロイが『好き』と言っているエドワード。これ以上の幸せがあるだろうか。

男冥利に尽きるとは、まさしくこの事。

だけど、このまま放っておくのは頂けない。いつまでもエドワードに無視されるのは流石に堪える。



コタツに近づく。それを牽制するように、アルフォンスがコタツ布団の上に座る。その様子に、ロイはため息をつかずにはいられない。

やれやれ、それほどに信用がなくなってしまったのかな。ひどい誤解だよ、アルフォンス。


「エドワード…」

いつもの甘く優しいテノールの響きで、愛おしい幼子を呼ぶ。


「私は今から散歩に出るが、一緒に行かないかい? 是非とも、君と一緒に散歩をしたいのだけどね、私は。君がいないと寂しくて仕方がなくてね……君はどうなのかな?」


君はどうしたい? 一緒に散歩をしたくないのかい?


さりげなくだが、決定権をエドワードに委ねる。そんなロイに、アルフォンスは「大人ってずるい」と思った。
エドワードは拗ねているだけだ。だから、こんな風に誘われてしまったら、諭されてしまったら。


もぞもぞと、コタツ布団が動く。


ちょこんと、中から外を覗くのは可愛らしい三角の耳で、それから撫でたくなる小さな頭。
そして、布団をかぶったまま大きな金色の瞳がロイを見つめてくる。


ようやく顔を出してくれた金色の仔猫。


でも、どこかまだ拗ねている雰囲気がとても可愛らしくて愛おしくて、ロイには微笑ましい。


「さあ、行こうか。エドワード」
「……にょい…」

ああ、やっと私の名前を呼んでくれた。

名前を呼んでもらう。それだけのことがロイには嬉しい。この幸せを壊さないよう、これからは迂闊な言動は控えようと、心底思った。


「何かな?」
「もう…おねえちゃんにむちゅうにならない?」
「私が夢中なのは君だけだよ」
「うそつけ…」
「おや、これは手厳しいね」

にっこり微笑んでエドワードを見る。そして、思いの丈を込めて、今度はロイが呼んだ。


「さあ、おいで。私のエドワード…」



もそもそと、コタツの中から出てくる金色の仔猫を、ロイはじっと待っている。
待っていて、出てきたところを舐めてやった。

「少し、久しぶりだね」
「……にょいがわるいんだもん」
「そうだったね。許してくれるかい?」


許すも何も、出てきた時点で円満解決なのに。まったくずるい大人だ、と間近で見ていたアルフォンスは思った。

しかも、あの声と笑みは反則でしょ! 仔猫に全力投球な大人ってどうよ? 横で聞いているだけの僕でも腰が抜けそうになっちゃったよ!腰にくるんだよ、あの人(猫だけど)の声は!

でも、どんなに反論しても負け惜しみにしかならないって、アルフォンスには分かっている。
ロイに呼ばれてエドワードが出てきた。エドワード自らコタツの中から出てきたのだから、アルフォンスにはどうしようもない。

悔しかったら男を磨くしかない。それもとびっきりの好い男に。

「ちぇ…」

今度はアルフォンスが拗ねて膨れっ面。

そんなアルフォンスに、「では、行ってくるよ。アルフォンス」勝ち誇ったような笑みを向けるロイが、また大人気ない。
そしてべったりと、ロイの足元に絡みながら歩いている金色の仔猫は幸せそうだ。
無邪気な笑顔が今のアルフォンスには、ちょっとだけ辛い。

僕だってロイさんに負けないくらいの男になるんだからね! ご近所のお姉さん達は皆「将来が楽しみに♪」って言ってくれているんだから!


まだ仔猫のアルフォンス。大きな目標に向かって、やる気満々だ。目標は高ければ高いほど燃えるもの。

ロイが最大で最高の人生の目標なのだ。

「……僕もお散歩にいこっと」


そして、機嫌よくお散歩に出かけたロイとエドワードといえば―――。







「にょいのばかーっ!おねえちゃんにまたむちゅうになってるーっ!!」
「ご、誤解だエドワード! 待ちなさいっ!」


ちょっと微笑んで挨拶をした。
でも、腰にくる程の甘いテノールに優しい微笑みは効果覿面で。相手はロイにぼ~となってしまう。
そんな事が3回も続けば、エドワードだって分かってはいても「うそつき!」と怒ってしまう訳で。

「うわ~んっ!」
「いきなり走ったら危ないよ、エドワード!」

泣きながら走り去る仔猫を、必死の形相で追いかけるのは町内一の色男。
そんな光景を、散歩の途中でアルフォンスは目の当たりにしてしまった。

「あれが、僕の目標……」

呆れてしまって、目標にした事を思いっきり後悔した。




このあと、エドワードは一週間ばかりコタツにもぐったまま、その間またしてもロイは一度も口をきいてはもらえなかった。

コタツ布団の上で「エドワード、出てきておくれ」と泣いているのはロイ。
縁側で「ばっかじゃないの」と呆れるのは、アルフォンス。
ブロック塀の上では「どうしてあの人がモテルんだ??」と大型犬ハボックが顔を覗かせている。


こんなにチグハグな2匹だけど、大人になったら誰も付け入る隙なんてないほどに、お似合いの恋人同士になるのは間違いない。

でも、それと同時に。

ロイにとって恋のライバルは、とてもとても増えていて大変なことになるのも必須。

だって。

金色に輝くエドワードは、町内一のアイドルになるのだから。



おしまい

3/14 18:18の方v>有難うございますv そう言って頂けて嬉しいです♪ その一言が創作意欲の原動力になります(^^)
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ILLUSTRATION BY nyao