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ロイと一緒にお散歩してからエドワードの様子がおかしい。

そもそも、帰ってきたかと思うといきなりコタツにもぐって出てこなかったり。しかも、側へ寄ろうとしたロイに、

「にょいはくんなっ!おれはひとりでおひるねするんだからなっ!!」

なんて、有り得ない言葉を言ってロイを凹ませた。その様子を一部始終見ていたアルフォンスは吃驚だ。

に、兄さんどうしちゃったの?! ロイ兄さんラブらぶvvな兄さんが「くんなっ!」て一体何事?!


エドに自覚はなくても、いつもエドはロイにべったりで。
ロイはロイで鼻の下が伸びきるのを必死に我慢しているのはアルにも一目瞭然。
そんな光景を毎日24時間まぢかで見ていたのだ。

なのに、お散歩から帰ってきてからエドはコタツから出てこないし、ロイはコタツ布団の上で涙に暮れているし。

有り得ない光景に、アルも呆然と眺めるしかない。


あんなに「しんねんになったら、にょいとおさんぽなんだぜ♪」って、喜んでいたのに。とうとう兄さんも<町へお散歩>、大人への一歩を踏む出すんだねって。まあ、保護者付きだけど。箱入りで心配だけど、ロイ兄さんが一緒だから大丈夫って思っていたのに…。

ここまで考えて、「まさか?!」アルフォンスはある考えに行き着いた。

まさかまさかまさか!!あの人(猫だけど)兄さんの前でも女の子達にデレデレしていたんじゃ!?


ロイは良く言えばフェミニスト、悪く言えば根っからのタラシだ。
そして、エドワードといえば箱入り仔猫。それも過重包装しまくりの筋金入りの箱入りで天然の世間知らず。
知っているのは、ロイとアルとご近所の大型犬ハボックぐらいで、既に一匹でお散歩をしているアルフォンスと比べて世間はあまりに狭い。


そんな兄さんの前で、出会うメス猫すべてにタラシ全開モードな態度をしたの?! タラシだ色男だスケコマシだなんて色々な噂もその現場を見たり聞いたりして知っていたけど、まさかっ、あんな初心な兄さんの前でなんて信じられないよっ!

エドワード溺愛、エドワード至上主義は何もロイだけではい。アルフォンスだってそうだ。しかも、自他共に認める究極のブラコン。

沸々と、無神経なロイに対して怒りが込み上げてくる。


てくてくと、コタツ布団の上で丸くなっているロイへと近づくと、思いっきり低い声をだして名前を呼んだ。

「―――ロイさん」


いつもの幼く可愛い声が、ドスを含んだ低い響きでロイに聞こえる。驚いて顔を上げると、これ以上ないほどの笑顔があった。

そう、アルフォンスは笑顔全開。そして、そんなアルフォンスにロイは肝が冷えそうだ。

さ、寒いぞアルフォンス?!

悪寒が走る中、ロイはある事に気が付く。
今、アルフォンスは<ロイさん>と言ったのだ。今日の今朝まで<ロイ兄さん>と呼んでいたのに。

そう、これはアルフォンスからの宣戦布告なのだ。


「兄さんを悲しませるなんて、僕はそんな無神経な人(猫だけど)認めませんからね!」
「……はい?」

ロイ、今いち思考が付いていかない。


さっきまで、アルフォンスにとってロイは親代わりであり兄だった。頼もしくて大好きな<ロイ兄さん>だから、兄さんを任せても良いかな、なんてちょっぴりだけど思っていたのに。

内心プンプン!でも表面上は笑顔のアルフォンスがロイに詰め寄るが、ロイには何故アルフォンスが怒っているのか分からない。


「僕、怒っているんですからね」
「えっと…何をだね?……アルフォンス」
「分からないなら良いです。教えてあげませんよ。ついでに、兄さんがどうしてコタツにもぐっているのかも教えてなんかあげません」

ロイのことを<兄さん>とは呼ばない。

だって。

今この時から、ロイはアルフォンスにとって恋のライバルになったのだから。





それからというもの、アルフォンスの反撃はもの凄い。

毎日毎日、ロイとエドワードの接触を絶妙のタイミングで邪魔に入る。あんなに3匹で寄り添ってお昼寝をしていたのに、それはもう遠い昔の記憶のようにさえ思えてしまう程だ。

エドワードといえば、あの日以来ロイとはろくに口をきいていない。

未だ拗ねているのも原因なのだが、一番の要因はアルフォンスだ。とにかく、エドワードと2匹だけになる機会なんてロイにはない。


「どういうつもりだね、アルフォンス。あんなに私に懐いていたのに」
「僕はもう赤ちゃんじゃないんです。それから、いい加減兄さんを諦めてくださいよ、往生際が悪いですよ、大人の癖に」
「それはできない相談だな、アルフォンス」

ばちばちっと両者の間に火花が散る。

ロイとて、エドワードと同じようにアルフォンスを可愛がってきたつもりだ。もちろん、恋愛感情は抜きで、だけど。

でも、これだけ敵対視されれば嫌でも気が付く。

弟して兄のエドワードを心配しているのではなく、ロイと同じ感情でもって接しているのだ。

そう、同じ感情。

つまり―――愛している。ということ。



私のエドワードに恋愛感情を持つとは、良い度胸ではないか。それも、浮気をしていると思い込んでの自覚とは、可愛いものだ。


「私は浮気などしていないよ。挨拶は基本だろ? アルフォンス」
「その挨拶の仕方に問題があるって思わないんですか?」
「男として、素敵なレディ達を袖になどできんな」
「………何も兄さんの前でデレデレしなくてもいいでしょ」
「おやおや、それは酷い誤解だね。それに可愛らしい文句だ」
「あなたは自覚がないのですね」

二匹とも譲らない。いくら話し合っても平行線ばかりで『どうしようもない』とはこの事だ。

でも、ロイの方に分が悪い。

初めてのお散歩で、初めてのメス猫達。もう少しロイに配慮があっても良かったはず。それはロイも認めている。
まさか、あんなにエドワードが落ち込むとは思いもよらなかったのだ。あげく拗ねられて口をまともにきいてはもらえない。

けれど、それはロイにとって嬉しい誤算だった。



―――落ち込んで拗ねてしまうほどに、ロイの事が好き―――



無自覚なまま、全身でロイが『好き』と言っているエドワード。これ以上の幸せがあるだろうか。

男冥利に尽きるとは、まさしくこの事。

だけど、このまま放っておくのは頂けない。いつまでもエドワードに無視されるのは流石に堪える。



コタツに近づく。それを牽制するように、アルフォンスがコタツ布団の上に座る。その様子に、ロイはため息をつかずにはいられない。

やれやれ、それほどに信用がなくなってしまったのかな。ひどい誤解だよ、アルフォンス。


「エドワード…」

いつもの甘く優しいテノールの響きで、愛おしい幼子を呼ぶ。


「私は今から散歩に出るが、一緒に行かないかい? 是非とも、君と一緒に散歩をしたいのだけどね、私は。君がいないと寂しくて仕方がなくてね……君はどうなのかな?」


君はどうしたい? 一緒に散歩をしたくないのかい?


さりげなくだが、決定権をエドワードに委ねる。そんなロイに、アルフォンスは「大人ってずるい」と思った。
エドワードは拗ねているだけだ。だから、こんな風に誘われてしまったら、諭されてしまったら。


もぞもぞと、コタツ布団が動く。


ちょこんと、中から外を覗くのは可愛らしい三角の耳で、それから撫でたくなる小さな頭。
そして、布団をかぶったまま大きな金色の瞳がロイを見つめてくる。


ようやく顔を出してくれた金色の仔猫。


でも、どこかまだ拗ねている雰囲気がとても可愛らしくて愛おしくて、ロイには微笑ましい。


「さあ、行こうか。エドワード」
「……にょい…」

ああ、やっと私の名前を呼んでくれた。

名前を呼んでもらう。それだけのことがロイには嬉しい。この幸せを壊さないよう、これからは迂闊な言動は控えようと、心底思った。


「何かな?」
「もう…おねえちゃんにむちゅうにならない?」
「私が夢中なのは君だけだよ」
「うそつけ…」
「おや、これは手厳しいね」

にっこり微笑んでエドワードを見る。そして、思いの丈を込めて、今度はロイが呼んだ。


「さあ、おいで。私のエドワード…」



もそもそと、コタツの中から出てくる金色の仔猫を、ロイはじっと待っている。
待っていて、出てきたところを舐めてやった。

「少し、久しぶりだね」
「……にょいがわるいんだもん」
「そうだったね。許してくれるかい?」


許すも何も、出てきた時点で円満解決なのに。まったくずるい大人だ、と間近で見ていたアルフォンスは思った。

しかも、あの声と笑みは反則でしょ! 仔猫に全力投球な大人ってどうよ? 横で聞いているだけの僕でも腰が抜けそうになっちゃったよ!腰にくるんだよ、あの人(猫だけど)の声は!

でも、どんなに反論しても負け惜しみにしかならないって、アルフォンスには分かっている。
ロイに呼ばれてエドワードが出てきた。エドワード自らコタツの中から出てきたのだから、アルフォンスにはどうしようもない。

悔しかったら男を磨くしかない。それもとびっきりの好い男に。

「ちぇ…」

今度はアルフォンスが拗ねて膨れっ面。

そんなアルフォンスに、「では、行ってくるよ。アルフォンス」勝ち誇ったような笑みを向けるロイが、また大人気ない。
そしてべったりと、ロイの足元に絡みながら歩いている金色の仔猫は幸せそうだ。
無邪気な笑顔が今のアルフォンスには、ちょっとだけ辛い。

僕だってロイさんに負けないくらいの男になるんだからね! ご近所のお姉さん達は皆「将来が楽しみに♪」って言ってくれているんだから!


まだ仔猫のアルフォンス。大きな目標に向かって、やる気満々だ。目標は高ければ高いほど燃えるもの。

ロイが最大で最高の人生の目標なのだ。

「……僕もお散歩にいこっと」


そして、機嫌よくお散歩に出かけたロイとエドワードといえば―――。







「にょいのばかーっ!おねえちゃんにまたむちゅうになってるーっ!!」
「ご、誤解だエドワード! 待ちなさいっ!」


ちょっと微笑んで挨拶をした。
でも、腰にくる程の甘いテノールに優しい微笑みは効果覿面で。相手はロイにぼ~となってしまう。
そんな事が3回も続けば、エドワードだって分かってはいても「うそつき!」と怒ってしまう訳で。

「うわ~んっ!」
「いきなり走ったら危ないよ、エドワード!」

泣きながら走り去る仔猫を、必死の形相で追いかけるのは町内一の色男。
そんな光景を、散歩の途中でアルフォンスは目の当たりにしてしまった。

「あれが、僕の目標……」

呆れてしまって、目標にした事を思いっきり後悔した。




このあと、エドワードは一週間ばかりコタツにもぐったまま、その間またしてもロイは一度も口をきいてはもらえなかった。

コタツ布団の上で「エドワード、出てきておくれ」と泣いているのはロイ。
縁側で「ばっかじゃないの」と呆れるのは、アルフォンス。
ブロック塀の上では「どうしてあの人がモテルんだ??」と大型犬ハボックが顔を覗かせている。


こんなにチグハグな2匹だけど、大人になったら誰も付け入る隙なんてないほどに、お似合いの恋人同士になるのは間違いない。

でも、それと同時に。

ロイにとって恋のライバルは、とてもとても増えていて大変なことになるのも必須。

だって。

金色に輝くエドワードは、町内一のアイドルになるのだから。



おしまい

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