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-------------●ここは鋼の錬金術師「ロイ×エドSSリレー企画」の二次創作サイトです♪●-------------※全ての画像・テキストの無断掲載持ち帰りはしないでください・初めての方は「about」をお読みください※since07/10/25
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見上げる空の鈍色は未だ陽光の兆しすら見えないほどの重たさで。けぶるように降り続ける細かい雨も街を灰に染めるだけ。
ロイはそんな街の風景をただじっと見つめていた。車窓のガラスにぶつかった雨のしずくが長く筋を引いて後方へと流れていく。一筋、また一筋と流れる雨の跡をロイは睨むような視線で見続ける。
――あの日も、こんな雨だった。
雨に打たれ続けていたエドワード。
あの時はそれが正しいと思っていた。見合いも結婚も未来を掴むための一つの手段。その道を進むことを決意するのなら、手を離して自由にしてやることこそ彼のためだと、こうすることがお互いのためなのだと心のどこかで言い訳をして。けれど、その結果は……。
ロイは車の後部座席でいつものように腕を組み、そうして今度は目を閉じる。浮かぶのは生気のない顔で人形のように座らされていたエドワードのその顔だ。ロイが想いに沈みそうになった時に控えめな声がロイに掛けられた。
「大佐、間もなくコルネオ家に着きますが……」
車のハンドルを握っているのはロイの部下の一人であるハボックだった。
「ああ、了解している。……すまんな」
思わず零したわびの言葉に、その部下は苦笑した。
「任務のうち……と言いたいところですけどね。俺の私情も入ってますから謝罪なんかは不要です。それより、ちゃんと大将奪い返してきてくださいよ」
お願いしますと告げてきた口元には火の付いていない煙草が銜えられていた。
ロイは「貴様に言われるまでもない」と返事はしたものの、漆黒の瞳に浮かぶのは口調とは正反対の穏やかな色だった。そうだ、後悔などは後でいい、今はただ、目的を果たすのみ。彼をこの手に取り戻す。全てはそれから。どんな結論をエドワードが選んだとしても、このままコルネオ家のおもちゃなどにはさせやしない。ロイはもう一度決意を固めなおす。
「俺は手筈通りに待機してますが……。あの家に乗り込めるのは大佐おひとりですから。くれぐれも気をつけてください」
コルネオの屋敷が視界に入り、ハボックは車の速度を減速させた。屋敷の入り口では出迎えであろう黒服の男が直立不動の姿勢をとっている。その姿を視界に止めて、ハボックはアクセルペダルから足を離しブレーキペダルを踏みこんだ。ゆっくりと停止をすれば黒服の男は傘を広げてロイを出迎える。
「ようこそ。お待ちしておりましたマスタング様」
慇懃に告げられたその言葉にロイは「ああ、ごくろう」と一言だけ告げた。
「お嬢様がお待ちです。どうぞこちらへ……」
ロイは一瞬だけハボックへと目線を向ける。ハボックは「ういっす」と短く返事をすると再び車を発進させた。
ロイは、足を止めて屋敷を見上げる。すると、窓辺に佇んでいた女性がいるのに気がついた。雨によってその女性が誰かなのまでは目視ができなかった。が、その視線の鋭さに、ロイはふっと笑みを浮かべる。
……二度目はない。決して次はあのような無様な真似はしやしない。
戦って、そして勝つためにロイは再びこの屋敷にやってきたのだ。


一方、窓辺からロイの姿を見降ろしていたフィオレッナも。ロイ同様に口元に笑みを浮かべていた。
「ようこそ、ロイ・マスタング。私も私の人形も貴方が来るのを心待ちにしておりましてよ。……さあ、宴を始めましょう」
うふふという笑い声も、宣言のように告げた言葉も。ロイの耳には届かなかったけれど。
それは「来るべき日」の開幕の合図。
雨が上がるのを待つのではなく。自らの手で陽光を掴み取るための。



ロイは一歩一歩踏みしめるように歩を重ね、そうしてコルネオの屋敷へと入って行った。






お話は進んでいませんが、なんか久しぶりだったので、対決へ向けての前ふりみたいなものを……と。リレーなのに9話、10話と連続で書いてごめんなさいーーーーー許してねと言いつつ脱兎で逃げるノリヲです。
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コールドレイン本編1~9話までの筋に添った(つもり)お遊びな番外編です。
掲示板に遊びでUPしていたのですが、こちらにUPしても良いよ~というメンバーの優しいお言葉に甘えて、一本にまとめてUPしちゃいました♪
本編のイメージと程遠いですので、とりあえず折りたたんでの掲載です。
笑って読み流してくださいませ(汗

まいこ
初夏の子猫たちその②
  ~黒猫ロイと金色の子猫~より
 
 
エドワードがロイと初めて出会ったのは、まだ生後2ヶ月の頃。
 
たくさんいた兄弟たちは日に日に少なくなって、「いつものことなのよ…」とママ猫は淋しそうに言っていた。
一番の仲良しだったエドワードとアルフォンスは、たまたま家の中を散歩していて最後までママ猫と一緒にいることができたのだけれど。
 
本当は、最初こそ偶然だったが後は違う。
 
お客さんが来る時間帯はいつもだいたい同じで。そして、お客さんが来ると必ず兄弟達が減っている。
エドワードとアルフォンスは、小さいなりに何かを感じて二匹でいつもその時間には抜け出していたのだ。
だけど。
その日のお客さんは、いつもと違う時間帯に来たのだった。
 
誰にも邪魔をされないはずの時間。ママ猫のお腹にもたれて寝ていたら―――。
 
「これは可愛い。二匹一緒に貰いたいが…」
「ええ、この子たちで最後ですから良いですよ」
 
話し声が聞こえたかと思うと、ふわりと抱き上げられた。
 
「みゅ?」
「みぃ?」
 
エドワードとアルフォンスが見上げると、そこには知らない女の人が優しく微笑んでいて。でも……。
 
ママ猫がじーと女の人に抱かれているエドワードとアルフォンスを見つめている。諦めたように何も言わないけれど、とても悲しそうで。
二匹の子猫もママ猫を求めて、みぃみぃ鳴いて泣き止まない。
 
「悪いな……大事に育てるから安心だけはしてほしい。お前達は、これから私と一緒に暮らすんだよ。私はイズミだ、宜しくなエド、アル」
 
イズミは優しくママ猫の頭を撫でて、エドワードとアルフォンスを抱きしめてそう言った。
 
 
けれど、帰り道どんなに優しく抱きしめても子猫たちは泣き止まなくて。
家に着いてからも、エドワードとアルフォンスの為に用意してあったふかふかのクッションも、温かなミルクも二匹を泣き止ますことができない。
 
「困ったな…今からまた出かけないといけないのだが…」
 
さすがのイズミも途方に暮れてしまう。
そんな時、黒く長い尻尾を揺らしながら部屋に入ってきたものがいた。
 
「ロイ、ちょうど良いところへ帰ってきたな」
 
イズミの飼い猫、ロイだ。
艶やかな黒い毛並みのオスの成猫で、メス猫とのデートから帰ってきたところなのだが、お気に入りの部屋は聞きなれない子猫の鳴き声がもの凄い。
 
『ああ、そういえば子猫をもらってくると言っていたな』
 
クッションに埋もれて泣いている子猫に視線をやる。
そこには、小さな小さな子猫が二匹、身を寄せ合って母親を呼んで泣いていた。
 
「ロイ、この子たちを頼む。できるだけ早く帰ってくるから」
『え!?ち、ちょっと待てっ』
「すぐに戻るから頼んだぞ!」
『待てと言っている、おいっ!』
 
なんて叫んでも無駄。にゃーにゃーとしかイズミには聞こえない。聞こえないけれど、そここは飼い主。何か抗議っぽいのは伝わったようで。
 
「私は、お前に頼んだと、そう言っているんだよ、ロイ」
『わかりました』
 
睨まれて終わり。
 
部屋には泣きっぱなしの子猫が2匹と、子守なんてしたことがないオス猫が一匹。
 
うむ…さて、どうしたものか?
 
クッションに埋もれている子猫たちを覗き込むと、まだ広さに余裕があるそこにロイもお邪魔する。
そして子猫の隣へと横たわると、ぺろぺろと交互に二匹を舐めてやった。
 
自分にも経験がある。
この家に始めて来た時の心細さと淋しさに。
 
だから、今は何も言わず、ただ小さな子猫たちを母猫がするように舐めてやった。泣き止むまで、ずっとずっとロイは二匹を舐め続けたのだ。
 
ようやく泣き止んだ頃、
『私はロイだ。これから毎日一緒だな』
実にスマートにカッコよくロイは決めた。決めたつもりだった。
 
だが。
 
『……にょい?』
 
舌っ足らずにロイを呼んだ子猫が見上げてくる。
その子猫の大きな金色の瞳が、今にも涙で零れ落ちそうなほど、うるうると潤んでいて。
 
かっ、か、可愛いではないか……っっ!!
 
どうやら零れ落ちたのは、ロイの心みたいだ。
それは町内でもタラシで評判の黒猫ロイが、生後2ヶ月の子猫(しかも♂)に激しい衝撃と共に恋をしてしまった瞬間だった。
 
恋に落ちれば、あとはもうコロコロと転げ落ちるだけ。
可愛い可愛いエドワード♪愛らしいエドワードvキュートでらぶりーなエドワード♪と、すっかりメロメロで鬱陶しいほどの溺愛ぶり。
そして恋をして幸せな毎日になる、はずが―――ロイを待っていたのは忍耐の日々。
 
だって、相手はまだ生後2ヶ月の子猫、というよりまだ赤ちゃんといって良い。
一緒にお昼寝をすれば、寝ぼけてロイのお腹に顔を埋め、小さな手でふにふにと押す始末。まだまだおっぱいが恋しい。
 
そう、寝ぼけたエドワードとアルフォンスは、ロイをママ猫と間違えるのだ。
 
『仕方がない、エドワードもアルフォンスも赤ちゃんなのだから。耐えろ、耐えるのだ、私っ!』
肉球をぐっと握り締める。
 
分かってはいてもロイにとっては屈辱。でも、そんな子猫に恋しているのはロイ。
アルフォンスも可愛いが、何とっていってもエドワードだ。
 
ふふふ…このまま、子育てに専念して私好みの猫に育てるのも一興だな。
 
ここに、猫版『光る源氏の君計画』を虎視眈々と狙う、いけない大人がいた。
そしてそれは、兄らぶvvな弟アルフォンスに敏感に察知され、ほのぼのな関係が一転した。
アルフォンスにしてみれば『優しいお兄ちゃん』だったのに、『可愛い兄に寄り付く悪い虫』にロイの立場は下落してしまった。
そして、ロイにしてみれば『可愛い弟』から『真っ黒くろすけお邪魔虫』に『恋のライバル』へとアルフォンスは昇格(?)してしまったのだった。
 
この日から、アルフォンスとロイの不毛な戦いの火蓋は切って落とされる。そんな賑やかな日々から10ヶ月。
 
そう、エドワードとアルフォンスがイズミに貰われてから、10ヶ月が経っていた。生まれてから1年。
本当なら、もう子猫ではないはず。だけど、大人というにはまだ子猫の面影とあどけなさが残っている、そんな時期。
 
でもエドワードは相変わらず小さくて、見た目は生後半年、良く見てもいいところ8ヶ月の子猫にしか見えない。
弟のアルフォンスの方がよっぽど大人になっている。
でもこのアルフォンスは可愛い容姿を最大限に活かし、人様の前でエドワードと戯れる時は、まだ大人の一歩手前の無邪気な子猫を見事演じきるのだ。
それは、女子高校生だって「きゃーv可愛い子猫がもう一匹いるわvv」と、騙されてしまう程の完璧さを誇っていた。
 
ロイにしてみれば「子猫の分際で!」と怒り心頭になる。もう子猫ではないけれど、自分のお腹をふみふみしていたアルフォンスは、ロイにしてみれば何時までたっても子猫なのだ。
 
でも、女子高校生に抱きかかえられている今の状況は激しくまずい。
アルフォンスのグルーミングはすでに終わっている。エドワードが起きて、お座りをしているからだ。
なら何がまずいのか?
 
「きゃ~んvv尻尾を振っているわよ♪」
「ご機嫌なのね~かっわいいvv」
「こっちに来るわよvv」
 
尻尾を振りながら垣根の前まで行くと、エドワードはちょこんと、そこでお座り。
お座りをして、尻尾をぺったんぱったんと地面に揺らしている。というか叩きつけているのだが。
 
「「「あーっもうっ、かっわいいーっ!!」」」
 
女子高校生たちは思いっきり勘違いをして喜んでいる。
猫が尻尾を揺らすのは犬とは大きく理由が異なっていて、犬は喜んで尻尾を大きく揺らすが、猫のそれは……はっきりいって「怒ってます」なのだ。
 
そう、エドワードは怒っているのだ。
それはロイにもビシビシと嫌でも伝わっていて。
 
『や、やあ…お目覚めかな? エドワード』
『……あんた、何やってんの』
『ま、まあその…なかなかお嬢さんが離してくれなくて、ほとほと困っているんだよ……ははは…』
『ふ~ん…』
 
垣根に緊張感と寒さが同時に漂っている。
ロイにとっては非常に不味い状態なのだが、でも女子高校生からすれば、「にゃ~」とか、「にゃー」とかにしか聞こえない。しかも、尻尾の動きが可愛らしくて勘違いに拍車が掛かりっぱなしだ。
 
「やーん、猫ちゃんたちお話しているvv」
「この黒猫と仲良しなのね!」
「じゃあ離してあげればスリスリしにいくのかしら!?」
 
子猫に擦り寄る黒猫、黒猫に甘える子猫な図が見たい!という事で、ようやくロイは解放された。
女子高校生が見守るなか、そろそろとロイがエドワードに歩み寄る。
が、足が途中で止まってしまった。だって、金色の瞳が完全にすわっていたのだから。
 
イズミに引き取られてから10ヵ月。その間、ロイから寄せられる好意が親愛のものなのか恋愛によるものなのか、エドワードだって分からない程もはや子供ではない。何かしらを感じているはず。
だけど。
エドワードにらぶらぶコール24時間フル活動なのに、デートこそないもののメス猫への愛想が止むことはなく、ロイはこうして人間の女の子にもベッタリだ。
 
エドワード的には、『気にいらねぇ』の一言に尽きる。らしい。
 
子供ではないから嫉妬だってする。そう嫉妬だ。この気持ちは嫉妬以外、何ものでもない。でも困った事にまったく自覚していない。
 
そして、ロイもそんなエドワードにまったく気がついていない。
 
な、何故、エドワードはこんなにもご機嫌斜めなのだ!? 寝起きだからなのか?
 
なんて、的外れなことを一生懸命考えていた。だって、機嫌を損ねたエドワードは一日中口を聞いてくれないのだ。
しかも、これ幸いにとばかりに、アルフォンスがエドワードにべったりで離れない。わざとらしくグルーミングをしたり、添い寝をしたりと見せ付けるのだ。
 
今日もこのままでは、きっと口も聞いてはもらえない。しかも、アルフォンスはこの状況を高みの見物。向こうの縁側で笑っている。
そして極め付けが、エドワードのこの言葉。
 
『ロイなんて嫌いだっ』
『エ、エドワード…ッ』
がーんっ!と強烈な衝撃波がロイを襲う。
 
エドワードはプイッと横を向いて、尻尾を激しくぺったんペッタンさせている。
ロイは、そんなエドワードを宥めるのに必死だ。
 
でも女子高校生は変わらず喜んでいて。
そしてアルフォンスは溜め息をついていた。
 
何だかなぁ……兄さんもロイさんも、いいかげん気がつかないかなぁ~。兄さんはともかく、ロイさんは経験豊富な癖してさ。ま、僕は教えてなんてあげないからね。ずっと邪魔しちゃうもん。
 
 
もうちょっとだけ、あと少し。
黒猫ロイと金色の子猫エドワードの、2匹にとっての春はすぐそこまで来ている―――かも、しれない。
 
 
おしまい
 
初お散歩編も書けたら書いてみたいな~と、野望だけはあります(汗
そしてここで、拍手お返事を失礼します!
Poohさまv>須田も触りたいです~。ふかふか猫のお腹大好きですvv


頂いたので、思わずUP!
まだだけど、フライングしちゃったけど、お祝いは早くても良いしね!
まいこ
6/1 拍手に「叔父ロイ×中学生エド」第6話

第5話をと入れ替えしました(^^)
ノリヲさん、いつも有難うvv
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ILLUSTRATION BY nyao