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カウンターを見ると、跡地にもかかわらず来てくださる方がいて、嬉しいです。
更新はないですが、残っている作品を楽しんでいただければと思います。
来てくださり有難うございます。
魔法使いエドが吸血鬼(?)ロイを出している、という可愛いアイコンですvv
●叔父ロイ×受験生エドワード●
『成就の十一月』②
あんまり重たくならないように、さらっと告げたつもりだけど。ロイ兄はすんごい硬直してる。
まるで隠してた本音を暴かれた時みたいに動揺して、その動揺をむりやり抑えつけてるってそんな感じ。
「……駄目だよ、エドワード」
うめき声みたいな低い声が吐き出だれて。
辛そうに、口元を歪めて。
ああ、やっぱり。オレってやっぱり天才かも。
わかった。わかってしまった。
予測はかなりの精度で命中だ。
ロイ兄は嘘なんか言ってない。
だけど、本当の本音はオレにずっと隠してたんだ。いや、隠してきたってのは少し違うか。
ロイ兄はオレのことたぶん好きだ。それもあの夏に言われたようなプラトニックとかじゃなくて、オレと同じ意味の好きでいてくれてる。
あ、それも、嘘じゃないんだ。叔父として、プラトニックな愛情だなんていうのもロイ兄の、多分本心。
両方、ホントのことで。
きっと本心というよりもそれはロイ兄の願望。
たぶんきっと。
両想いであろうとも、ロイ兄はこの気持ちを成就させるつもりはないんだろう。
手を繋いで、抱きしめて。髪を撫でて……そこまでがロイ兄の許せること。
それ以上は駄目だって、そういう決心はきっと固い。
プラトニックだ、なんて前に言われたけど。それはロイ兄の感情じゃなくて……願い、なんだ。
プラトニックでいいなんていうのも嘘じゃない。それもきっとロイ兄の本当の気持ち。そう願って自分を律して。
いつまでも一緒に居たい。だからこのままで。叔父という立場からすればその先に踏み込むようなことはしてはいけないと。
そう願う気持ちはオレにもわかる。だけど。
なあ、ロイ兄。オレはもう庇護されるだけの子供じゃない。
「あのな、ロイ兄。オレ、一生ずっとロイ兄につき纏うぜ。離れない。叔父だからとか甥だからとかって思う気持ちもわかる、と思う。
うん、母さんたちに悪いなってオレだってホントはちっとは思ってた。だけどさ、ウチの家族、オレ達が本気で思ってることに対してだったら、それが世間の常識的でないことだとしても、ちゃんと認めてくれるはずだ。
そういうふうに信頼してくれてもいいんじゃねえかな」
「エドワード……」
「アルフォンスも母さんも、ちゃんとオレの気持ち分かってくれると思う。
世間一般的な当たり前の幸せなんかよりも、本当の意味でオレが幸せになった方が嬉しいって絶対そう思ってくれる。
ロイ兄とオレは、叔父と甥で、それって世間的には禁忌だけどさ。でも、本気だってわかって理解してくれるはずだ。
なあ、ロイ兄。そうやってちっとはオレ達のこと、信じてくれねえかな?
それにさ、実はオレ……母さんたちに反対されようと構わないって思うんだ」
「構わない、わけないだろう。反対されるようなことはしてはならないよ。家族なのだから……」
ロイ兄はオレの言った言葉を別の意味に取ったらしい。オレはふるふると頭を横に振った。
「違う、ロイ兄。そーじゃねえよ。反対されても構わないってーのは、そういう意味じゃない。
あのな、今反対されたって、そのうち賛成してもらえるようにってオレは母さんたち説得する。
そのくらいの根性ある。
なあ、ロイ兄。ロイ兄がオレのこと好きだって認めてくれるまで何年かかったと思ってんだよ。
母さんたち説得するのに年単位の時間がかかったとしてもオレはぜったいに諦めねえし、それにそんな時間かけなくたってきっと母さんたち、オレらのこと認めてくれる。
それも絶対大丈夫。
だから、な。
ロイ兄もちゃんと覚悟決めてくんねえかな?」
ロイ兄はオレを黙って見つめてきた。オレも言うべきことは言ったからこれ以上は言葉を重ねないでただ黙って、ロイ兄を見続けていた。
時計の秒針が進む音だけが聞こえる。
呼吸や心臓の音さえもこの部屋中に響いているような感じがする。
黙っているの、本当はちょっと怖かったけど。だけど、口は開かない。ただ、ロイ兄を見つめている。
覚悟、なんて。それこそオレが決めなきゃいけないことかもしれない。
だけど、ロイ兄。
オレら、一生一緒に生きていいんだろ?ならこの気持ちが恋じゃないなんて言わないで、叔父としての愛情に独占欲だよなんて牽制しないで。
好きだって、言葉に出してくんねえかな?
オレはただ、ロイ兄を見ていた。ロイ兄も、オレから瞳を逸らしはしなかった。
そしてようやくロイ兄は止めていた息をふううううっと吐き出して。しばらく迷ってたみたいだけど、それでもロイ兄は「降参だ」ってぼそりと漏らしてきた。
「本当にいつの間にこんなにも君は大きくなったんだか……。私の方が子供みたいではないか」
ははは、と笑う笑顔の奥にはまだ重たい気持ちが隠されているみたいだってオレは思う。
まだ、届かない。ロイ兄の心の奥底に隠している気持ちには。
このままだとうまくごまかされてしまうかも知れない。
それ、もうオレは嫌だ。
隠して、そうしてロイ兄だけが重たい気持ちを持ち続けるなんて、駄目だ。
まだ言葉が足りない。もっともっと、ロイ兄の心に届くように。
すぐに全部が解消できるとは思わないけど、少しでも減らせるようにとオレは慎重に言葉を選ぶ。
「違うロイ兄。ロイ兄はやっぱり大人なんだよ。だから先回りしていろいろ考えてくれてたんだろオレのこと。子供なのはオレ。何にも考えないでただ好きだって、それだけで真っ直ぐにロイ兄の方へ走って行ってた。
オレがいてロイ兄がいて家族がいて……仕事してれば社会的な立場とかもあるだろ?そんなの関係ないなんて言うのは子供だよ。自分たちだけが幸せならいいなんて、そんなのダメだ。
家族を、オレらの大事な人を不幸にするような恋なんて、そんなの単なる自己中心的な考えでしかないんだと思う。
オレはアルフォンスも母さんも大切で、心配かけるようなことなんてしたくない。皆に背を背けられるようなことはしちゃダメなんだって、よくわかったんだ。
だけど、だから。オレは、ロイ兄と幸せになる。もちろんオレの家族だって幸せになってもらう。
白か黒かの二択なんかじゃない。二兎追って二兎とも得られないようなら駄目なんだ」
「エドワード……」
考える。願う。どうか届いてオレの気持ちが。一方的に守られたいんじゃないんだ。オレはロイ兄と一緒に生きていきたいんだよ。
「ちゃんとするから。オレの気持ち、認めてもらう。オレがロイ兄と一緒にいてどんなに幸せか、それ母さんたちにわかってもらう」
オレは言葉を選びながら、気持ちを声に出していく。届いて欲しい。ロイ兄の心に。
ロイ兄は最初、駄目だよ、と困った顔をしていた。けれど瞳は逸らさない。真剣なまなざしでオレを見つめて続けていた。
そうしてゆっくりと、表情が変わっていく。
眩しいみたいに目を細めて。嬉しそうというか満足そうというかそれでも何か辛そうっていうか……なんだろう?すっごく優しいんだけどいろんな感情が入り混じったような目でオレを見てくる。
少しだけでも分かってもらえるかな?ロイ兄はきっとオレのこと守ってくれてる。叔父として、慈しんでくれてる。
だからこそ、ロイ兄はオレへの感情を恋にはしないようにって、気持ちを抑えてくれてきたんだろう。
ずっとずっと、きっとオレが気がつかないところでも強く。
――君の髪を撫ぜて、手を繋いで。まあそれで私としては十分満足だ。プラス許容するとすれば……。
そうだな、外国人ばりに頬に挨拶のキスくらいはかまわないがね?
それを言われてから何度も受けた頬へのキス。その度に、ほんの少しだけロイ兄の手が、唇が震えていたのをオレは知ってる。
なあ、気がつかないとでも思うのかよ。
オレに触れるたびに、オレへの気持ち、抑えてるんだろ?我慢なんかしないでほしい。オレのこと、守るつもりなのは嬉しいけど。
だけど、なあ、ロイ兄。オレだってもう子供じゃない。オレだってロイ兄のこと大事にして、そうして守ってやりたいって思うんだ。
一人で全部背負わないで。
一人で背負う荷物なら、潰されそうになくくらい重くても。
二人でその重さを分け合えば、そんな荷物の重みなんて気にならないくらいに軽くなると思うんだ。
だって、ロイ兄が言ったんだ。「二人で生きて行こう」って。
ロイ兄がオレを守るだけの人生じゃないんだぜ?二人で生きていくってことは幸せも重みも全部二人で分け合うってことだろう?
二人でならどんな重さでも支えられる。どんな不可能なことでも可能にできると思うんだ。そういう強さを持てるってそんなふうに思うんだ。
……なんだかうまくまとまらないけど。オレのいろんな気持ちを全部何とか伝わるようにって一生懸命言葉を選びながら話していった。
ロイ兄はオレを抱き寄せてくれた。
呼吸止まっちまうくらいに強く。オレの背中にまわされたロイ兄の腕が痛いくらいで。
だけど、その手は震えていた。
「降参、だ」
「ロイに、ぃ」
「もう駄目だ。降参だ。……手放せないよ、たとえ君の人生を歪めても」
「ロイ……兄?」
「本当に小さい時から真っ直ぐに私だけを見ていてくれて。それが、嬉しい反面……本当はずっと不安だったよ。私がエドの気持ちも生き方も歪めているのだろうとね」
抑えた声、抑え続けてきたロイ兄の感情。
「私さえ、君の前から消えてしまえば。あたり前の幸せなどいくらでも手にできるのにと、幾度考えたかわからない。
私を好きだというエドの気持ちは嬉しいが、狭い世界に居るからにすぎないんだと、もっとずっと広い世界を望むべきで、そうする力がエドにはあるのだから、そちらに押し出すべきだとずっとね、思っていたし、今もそう思っているんだよ」
「ロイ兄の傍に居るのが狭い世界にとどまることだなんてオレは思わない。世界中の全部、オレが知ったとしてもその後だって胸張って言える。
オレの好きな人はロイ兄だ。世界でいちばん愛してる。ロイ兄がなんて言おうと歪みなんかじゃねえ。オレの、心からの気持ちをそんなふうに言うな」
腕の中にぎゅうぎゅうに閉じ込められて、はっきり言って苦しいくらいだったけど、それでもオレはきっぱりと言う。
「そんなふうにロイ兄がオレのこと勝手に判断するの、オレを信じてない証拠。言っただろ?オレはちゃんと幸せになるって。
母さんたちに後ろ暗いところなんか持たねえぜ。ちゃんと好きだって言うし、それ認めてもらうし、ロイ兄と対等以上になるくらいにはオレいろんなこと勉強するつもりだし、家族、不幸にする気なんてねえし。もちろんオレはロイ兄と一緒に幸せになるんだ」
少しだけ、ロイ兄の胸を押して。ぎゅうぎゅうに閉じ込められていた腕を緩めてもらって。オレは見上げる。
眉根を寄せてちょっとだけ辛そうな表情でオレを見るロイ兄に手を伸ばす。
オレの指先がロイ兄の頬に触れる。
ちょっとだけ、びくって震えたけど、ロイ兄はオレの手を拒むことなんかしなかった。
拍手ぽちっと押していただいた皆様、ありがとうございますううううっ!
叔父ロイ×甥っ子エド話にコメントくださった方!感謝です!
以下、コメ御礼。
■10月12日14時23分ごろの方
返事遅くなってごめんさない。ロイエドですロイエド(笑)
そーですよね、ロイ兄甘いですよねーっ!一緒に住んだらすぐにでも理性壊れると思われますv
コメントありがとうございました。活力です!!
■みか様
いつもありがとう!ロイ兄の鉄壁の忍耐力も流石にそろそろ壊れるかとへへへv
10年もかからないですよ。きっと春にはふふふですv
これからもよろしくお願いたしますv BY ノリヲ
そうしたら、スクロールでしたの方に??
「ない!?」と何度もさがした須田って…(汗)
これは、ちゃんといつもの位置にでるかちょっとお試し。